解説記事・声明等

東京出入国在留管理局との意見交換会報告

2019年5月27日、石橋通宏参議院議員、山本太郎参議院議員(当時)の同席のもと、東京都港区の東京出入国在留管理局(以下、東京入管)にて面会活動を行っている団体・個人7名で、東京入管との意見交換会を行いました。以下、意見交換の中で「概数として」提供された数字や、注目すべきポイントをご報告いたします。

今回の意見交換会の対象は東京入管であり、東日本入国管理センター(茨城県牛久市)は統計の対象ではありません。東日本入国管理センターについては、2018年の意見交換会の記録をご覧ください。

【ポイント①】収容期間の長期化について

3年前は1人だった1年6か月以上の収容が、2019年5月時点では37人になっていることが分かりました(※1)。東京入管はこれまで短期収容が中心で、運動場がない、食べ物の差し入れができないなど、比較的長期間収容されている人が多い東日本入国管理センターとは異なる対応がとられています。収容の長期化という実態に合わせた処遇の見直しが望まれます。

加えて今回の意見交換会では、常備薬の使用件数が2016年から2018年にかけて4万件以上増加しているということが明らかになりました。自傷行為も年間20件前後発生しています。収容の長期化や仮放免許可率の低迷が、被収容者の心身に多大な影響を与えていることが懸念されます。

【ポイント②】仮放免許可について

2016年から減少し続けていた仮放免許可率が、2018年の47%から若干改善していることが分かりました(※2)。しかし、仮放免許可は数週間から数か月に一度更新する必要があり、その際に更新が許可されずに再度収容されるという事例が多くあります。今年の7月には、仮放免許可が出た方が2週間後に再収容されたケースがありました(※3)。よって、仮放免許可率の上昇のみをもって状況が改善されたということはできず、引き続き状況を注視していく必要があります。

【ポイント③】被収容者の約4割が日本政府に庇護を求めている

被収容者465人中179人(約38.5%)が、難民認定申請もしくは審査請求手続、そして難民関係訴訟を行っていることが分かりました。東京入管に収容されている方がその前にどこに収容されていたのかという質問に対しては、「主な移送元としては羽田空港支局や成田空港支局」との回答です。その中には空港で庇護を求めたがために日本に上陸することができず、そのまま収容所に移送されたという方が多くいることが懸念されます(※4)。

そもそも「難民認定申請者および難民の収容は原則として避けられるべき(※5)」であり、2018年12月に採択された移住グローバル・コンパクトでも「外国人の収容は最終手段としてのみ用いられるべき」とされています。誰にでも庇護を求める権利があり、それを行使した人が逆に収容される今の制度は変わらなければなりません。

※1 2016~18年のデータはNPO法人移住者と連帯する全国ネットワーク提供資料による
※2 2014~16年のデータは2017年6月5日の東京入国管理局長との意見交換会による
※3 東京新聞「牛久入管 100人ハンスト 5月以降拡大、長期拘束に抗議」(2019年7月25日)
※4 難民支援協会「自由への道-エチオピアと日本の狭間で」(2015年6月11日)
※5 UNHCR「日本と世界における難民・国内避難民・無国籍者に関する問題について(日本への提案)更新版」(2017年5月)

以下、2019年5月27日の訪問時に東京入管より概数として文書にて提供された回答です。

視 察 資 料

(※なお,本資料に記載した数値については,公表値ではなく,取り急ぎ集計した速報値である。)

1. 予算・人員・施設概要等

a 収容に係る予算

① 2018年度
② 2019年度
予算は予算科目に従って支出をしているところ,収容に係る予算として予算科目が定まっているものではないため,収容に係る予算のみを取り出して特定することは困難です。

b 職員数(課・部門ごと)(2018年度)(外部委託事業があるのであればその内訳を含む)

東京出入国在留管理局管内における職員数は2,314人ですが,各課・部門における職員数については,その時々の業務の状況に応じて随時職員の配置を見直しているため,一概にお示しすることは困難です。
なお,外部委託事業については,当局おいて,具体的な従業者数を把握しておりません。

c 被収容者の一日のスケジュール

7時     起床
7時30分  清掃
8時     朝食
9時     朝の点呼
12時    昼食
17時    夕食
21時    夜の点呼
22時    就寝

被収容者の内訳(5月8日現在)

a 総人数・男女別人数
465人 (男328人,女137人)

b 性的マイノリティの人数
被収容者のプライバシーに関する事柄であり詳細についてお答えしかねますが,一定数の申告はあります。

c 未成年者の被収容者の人数(18歳以上と18歳未満でそれぞれの人数)(過去1年に未成年者の収容実績があれば,その年齢別内訳と収容期間)
4人(男4人,女0人)全員19歳
収容期間については,統計を取ってないため回答できません。

d 国籍別内訳
上位10か国は,中国63人,ベトナム61人,フィリピン41人,スリランカ38人,タイ32人,ネパール28人,トルコ23人,ミャンマー23人,ナイジェリア20人,パキスタン16人。

e センターに来る前の収容先(移送元)の内訳
保安上の支障から詳細についてはお答えを差し控えますが,主な移送元としては羽田空港支局や,成田空港支局となります。

f センターに移送されてきた時点で難民申請を行っていた者の数
統計をとってないため,回答できません。

g 庇護を求めている者(難民申請を行っている者)の数
①難民認定申請手続を行っている者                   54人
②審査請求(異議申立)手続中の者                  124人
③①及び②は終了しているが,難民関係訴訟を行っている者         1人

h 官費による架電許可本数,許可の理由別内訳
2018年は51件許可。
許可の理由別内訳は,個別に詳細な統計をとっていませんが,被収容者の置かれている状況を踏まえ,判断しています。
         
i 収容期間別内訳
①6か月未満       248人
②6か月以上1年未満   107人
③1年以上1年6か月   73人
④1年6か月以上2年未満 22人
⑤2年以上2年6か月未満 12人
⑥2年6か月以上3年未満 3人
⑦被収容者のうち最長収容期間の者の収容期間 1,074日
⑧平均収容時間      32.0日(2018年の平均収容日数)    

3. 自殺・自殺未遂・自傷行為に関して

a 被収容者の, A 自殺件数, B 自傷行為(自殺未遂含む)の件数

① 2017年 A 0件,B 18件
② 2018年 A 0件,B 24件
③ 2019年 A 0件,B  9件 (5月8日現在)
(注)Bの件数は,自損及び自傷行為を理由として隔離措置を執った件数を計上している。

b カウンセラー・精神科医の診療体制と利用実績

非常勤のカウンセラー3人を配置しており,交代で毎週火曜日13時からカウンセリングを実施しています。また,昨年9月から非常勤の精神科医師9人を配置しており,交代で毎週火曜日13時から精神科診察を行っています。
なお,2018年のカウンセリング件数は145件,精神科診察件数は178件(9月から12月まで)です。

4. 仮放免申請について

a 仮放免申請件数

①2017年 2,030件
②2018年 2,000件
③2019年 648件(5月8日現在)

b a のうち,申請の許可処分・不許可処分の件数

<許可処分>
①2017年 1,082件
②2018年 945件
③2019年 384件(5月8日現在)

<不許可処分>
①2017年 777件
②2018年 949件
③2019年 269件(5月8日現在)

c aのうち,仮放免申請から結果が出るまでに要した期間

<1か月未満>
①2017年 67件
②2018年 61件
③2019年 17件(5月8日現在)

<1か月以上2か月未満>
①2017年 376件
②2018年 286件
③2019年 128件(5月8日現在)

<2か月以上3か月未満>
①2017年 432件
②2018年 680件
③2019年 134件(5月8日現在)

<3か月以上>
①2017年 121件
②2018年 21件
③2019年 14件(5月8日現在)

<最長期間>
①2017年 146日
②2018年 216日
③2019年 118日(5月8日現在)

<平均処理期間>
①2017年 62日
②2018年 61日
③2019年 60日(5月8日現在)

5. 送還について

① 自費被送還数・国費被送還数

①2017年  自費出国者 3,881人 国費送還者 176人
②2018年  自費出国者 3,188人 国費送還者 205人
③2019年  自費出国者   726人 国費送還者  71人
(5月8日現在)           

② 送還忌避者の被送還数

統計をとっていないため,回答できません。

③ a及びb のうち,チャーター機による被送還数

①2017年 42人
②2018年 47人
③2019年 0人(5月8日現在)

④ a, b 及びc のうち,難民申請歴がある者の数

統計をとっていないため,回答できません。

6. 医療体制について

a 医療体制の詳細(常勤・非常勤別の勤務医の体制)

医師は13人(いずれも非常勤で,消化器内科1人,内科1人,消化外科2人及び精神科9人)がおり,月,水及び金曜日の13時00分から16時30分頃までの間,当局において内科診療を行っています。また,火曜日の13時00分から16時30分頃までの間,当局において精神科診療を行っています。
なお,木曜日の午前及び午後において,訪問歯科診療を実施しています。

b 看護師・准看護師・准看護資格をもつ職員の数

非常勤の看護師が2人在籍しています。また,准看護師をもつ入国警備官が4人在籍しています。

c 庁内診療数・庁外診療数・緊急搬送件数

① 2017年  庁内 7,770件 庁外 778件(うち,救急搬送5件)
② 2018年  庁内 8,506件 庁外 977件(うち,救急搬送8件)
③ 2019年(4月末まで)  庁内 2,877件 庁外 264件(うち,救急搬送2件)

d c のうち,医療費を被収容者の自己負担とさせたケースがあれば,その件数と理由

2018年に一件ありました。事案の詳細については本人のプライバシーの観点からもお答えを差し控えます。

e 施設内の常備薬が使用された件数

①2015年 12万5,489件
②2016年 10万2,985件
③2017年 11万4,086件
④2018年 14万9,297件
⑤2019年 4万9,404件(4月末まで)

7. 願箋について

a 願箋(医療の診療行為に関する申出書)を示されたい

別紙のとおり

b 2018年の願箋が提出されてから受診までの平均日数と,診療までに要した最長日数

統計をとってないため,回答できません。

c 願箋が提出されてから3日以内に医師による診療を受けられなかった件数

統計をとってないため,回答できませんが,被収容者からの受診の意思表示があれば,その場で被収容者申出書を提出させ,診療室からの意見を聞いた上で,速やかに診療を実施しています。また,急を要する場合には,被収容者から被収容者申出書の提出がなくても,直ちに診療を実施しています。

d 被収容者のうち,睡眠導入剤を投与されている人の割合(5月8日現在)

不眠症との診断を受け,睡眠導入剤の処方を受けている人の割合は約14.8パーセントです。

8. 通訳について

被収容者とのコミュニケーションにおいて通訳を利用した回数と言語,通訳に支払った経費の合計

「被収容者とのコミュニケーション」に特化した使用実績値の算定は統計を作成していないため,回数,言語及び経費を計算することは困難です。

9. 制度に関する「手引き」の配布について

「医師に対する願箋」,「所持金のない人に対する生活必需品等の官費による支給」,「官費による架電」,「信教の自由への配慮」など,入管で実施されている配慮や制度があるが,それらについて,被収容者に配布する「手引き」のような書面があるか?あるとしたら,複写の交付を希望する

お尋ねの個々の手引きは作成していませんが,生活全般の手引きについては居室に配備しています。

10. 誓約書への署名について

収容所での使用にあたり誓約書への署名が必要なものがあれば,そのフォームと共に示されたい

CDプレーヤー及び電子辞書を収容場内で使用する際に,それぞれの約束事を守らせることを担保するための誓約書があります。

11. 外部との連絡について

外部との電話の設置台数・使用許可時間帯を示されたい。また,フリーダイヤルの使用は可能か

収容場内の電話の設置台数は91台です。また,電話の使用許可時間帯は,9時30分から12時00分,13時00分から16時30分までの間に加え,17時00分から20時30分までの間に順番で通話が可能です。なお,フリーダイヤルの使用はできません。

12. 面会について

a 面会スペースの数・面会方法・面会可能時間帯を示されたい

面会室の数は,領事面会室2室及び一般面会室21室です。
面会は,一回につき原則30分ですが,諸事情により面会時間を短縮する場合もあります。
同一の被収容者には,一日一回しか面会できません。

b 面会件数(うち領事面会数・弁護士面会数・家族による面会数)を示されたい)

「領事面会数」及び「弁護士面会数」は,個別の統計をとっていないため,合数となります。また,「家族による面会数」は,統計をとってないため,回答できません。
①2017年 4万8,960件(うち,領事及び弁護士面会920件)
②2018年 5万5,019件(うち,領事及び弁護士面会1,299件)
③2019年 1万3,536件(うち,領事及び弁護士面会327件)(4月末まで)

c 家族面会室の使用件数および家族による面会申込数を示されたい

「家族面会室」はなく,「家族による面会申込数」は統計を取っていないため,回答できません。

13. 食事について

a 1食あたりの食事の予算はいくらか。また,業者選定にあたり,競争入札は行われているか。

契約単価は一人一食当たり379円(税抜)です。業者選択に当たっては,一般競争入札を行っています。

b 官給食許否件数と,参加者の訴えを認めて処遇を改善したケースがあれば,その内容を示されたい。

①2017年 8件
②2018年 2件
③2019年 3件(5月8日現在)
なお,参加者の訴えを認めて処遇を改善したケースはありません。

以上

※ リンク先におけるURL変更により、一部URL修正(2022年1月)