先進国各国と比較し、日本の認定率が突出して低い状況が長年続いています。

【難民認定数の各国比較(2024年)】カナダ:認定48,671人 (認定率 70.0%), ドイツ:41,107人 ( 15.6%), フランス:40,749人 (20.3%), 英国:37,021人 (42.4%), 米国:35,701人 (57.7%), イタリア:6,024人 (7.7%), 日本:190人 (2.2%)。なお、米国については2024年半ば時点の数字

計算方法は注記参照1

夏のご支援のお願い
難民認定の空白を埋めるため ー 安心と尊厳を守る活動を支えてください

日本に逃れてきた難民の多くの方々が、いまも不安の中で暮らしています。
本国に戻れば命の危険がある。
それでも、日本では難民と認められない。
—— そんな状態で、何年も先の見えない時間を過ごしています。

再び申請を行わざるを得ない方、まだ初めての申請結果を待っている方——

難民認定の結果が出るまでには、平均で3年、長くて10年以上かかることもあります。
その間、日本で「どう生きのびるか」という問題に日々直面しています。

難民支援協会(JAR)は、困難な状況にある難民一人ひとりに向き合い支援するとともに、適切に認定が行われない制度の改善に向けても取り組んでいます。

難民の方々が安心できる日をともに目指すため、どうかこの夏、ご寄付で難民支援活動を支えてください。

「難民認定を受けられていない方々が、困難に直面しています」

「難民不認定となり就労許可を失った。再び自活したいが、今は支援でなんとか暮らせている

アジア出身のTさん。政府に批判的な発信を繰り返し行なったことが問題視され、拘束を経験しています。常に政府に監視され近隣国に逃れました。その後も、デモに参加した家族が数年間収監されたことがあります。
日本入国後、難民申請。認定結果が出るまでの間、就労資格を得て工場での仕事で収入を得て自活していました。

しかし数年後、難民不認定に。就労資格も失いました。家賃を支払う余裕がなく、いつ家から追い出されるかわかりません。再び難民申請が不認定になっても、母国での危険は今もあり帰国できません。しかし、3回目の申請となれば送還の可能性もあります。日々不安が増すばかり、とJARのスタッフに打ち明けたことがあります。
現在は、JARなどの支援団体から食料をもらっています。国民健康保険もなく、体調不良の際にはJARの紹介で医療機関にかかっています。

個人が特定されないよう、情報の一部を変更して掲載しています。

JARには、日々多くの方が支援を求めてこられます。2025年5月末までのに入って半年間で、600名以上の方の相談に応えました。その中には、来日直後の方だけでなく、来日後長く時間を経た方もいます。難民として認定されず、安定した在留資格を得られない中で、困窮した状況に置かれています。

JARでは、相談に来られる一人ひとりと向き合い、難民申請手続き、医療・食料・住居などの生活支援、定住支援を行っています。難民を保護する政策・制度の実現にも継続して取り組んでいます。

JARの支援はこれからも長期に渡り、必要です。

すぐに安定した状況を得られる方は、わずかです。何年も認定を得られず、支援を必要とし続ける方がいます。

制度の改善にも、時間がかかります。難民認定手続きのため弁護士が必要な人の中にも弁護士をつけられていない人もいるなど、提供できている支援も十分ではなく、体制や資金の充実も必要です。
支援を求めてJARに来られる難民の方は減る兆しがありません。

これからも日本に逃れた難民への支援を続けられるよう、ご寄付をお願いいたします。

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「当初から在留資格がなく、働けないまま結果を待っている」

アフリカ出身のFさん。LGBTQであることが知られ、地域コミュニティや警察から狙われるようになってしまいました。この国ではLGBTQであることは違法とされているためです。家族の理解も得られず、観光ビザで日本に逃れました。
しかし、空港で入国できず、出国便に乗せられようとした時に何度も難民申請の希望を伝えて、なんとか送還されずにすみました。
しかし在留資格がなく収容。その後仮放免を得ることができましたが、就労資格もないため住居を含め、JARなどの支援で暮らしています。その後保護費を申請し、4ヶ月経ってようやく受給することができ、今はなんとか生活はできています。

しかし、難民申請については一次で不認定となり、審査請求の結果を長く待っています。先が見えない中、働くことも認められず、精神的にも大きな負担を抱えています。

日本に逃れてきた難民をこれからも支えるため、どうか力を貸してください。

ご寄付は、難民の方々への直接支援や、難民を受け入れる社会を目指した政策提言・広報活動に大切に活用します。

ご寄付で、たとえば以下の活動資金を支えることができます:

医・食・住の生活支援

日本で頼る先がない難民に、個別で相談に応じています。一人ひとりの力を引き出すことを考え、来日後の厳しい状況から自立への道のりを支えます。緊急性に鑑み、シェルターを提供したり、国民健康保険に入れないなか適切な医療を受けられるようサポートしたりすることも、支援活動の一つです。

難民認定を法的に支援

申請手続きは、非常に複雑で難しいものであるばかりでなく、多くの資料の提出が必要です。保護されるべき人が難民認定を得られるよう、手続きのアドバイスや証拠資料の収集・作成をサポートしています。

経済的な自立をサポート

自立した生活を行うためには、働いて収入を得ることが必要です。就労を希望する難民に対して、日本での仕事探しの方法を伝えるとともに、それぞれの難民に適した企業との橋渡しを行い、雇用を実現しています。

社会への働きかけ

自治体、学校、病院など、地域社会をつくる人びとと難民を橋渡しし、難民が社会の一員として、地域のなかでつながりを持ち生きていけるよう支援しています。 さらに、難民を取り巻く問題の背景には制度的な課題が多く、また難民の存在が多くの方に知られていないこともあります。そのため、政策提言や広報活動にも力を入れています。

もしあなたにご支援いただければ…

ご支援によって、日々の難民への直接支援や社会への働きかけを含む、難民支援の活動全般を続けることができます。

ここ日本で困難な状況に置かれている難民の方々を支えていくため、お力添えをいただけましたら幸いです。ご理解とご協力に心よりお礼申し上げます。

今すぐ寄付をする

難民支援協会へのご寄付は、税控除の対象になります。

当会は「認定NPO法人」(東京都の認定)であり、確定申告により、寄付金額の最大約40%(東京都にお住まいの方は、最大約50%)が税金から控除されます。
※ 個人の場合。法人からのご寄付への優遇もあります。

詳しくは、こちらをご覧ください。

<難民認定・不認定とは>

難民として認定されると、定住者として安定して在留でき、社会保障制度に加入したり、将来を見据えて生活や仕事をしたりすることが可能になります。
難民認定手続きは、一次申請と審査請求(異議申し立て)の二段階となっています。審査請求でも不認定となり、再度の難民申請を行う方も少なくありません。2024年6月に施行された改正入管法では難民申請が3回目以降の人はに強制送還の対象となりましたが、そのような方の中にも、訴訟により難民として認定された方がいます。

日本の難民認定プロセスにはさまざまな問題があり、不認定となった方の中にも本来難民として保護されるべき方が多くいるのではないか、とJARでは考えています。さらに、認定・不認定の結果が出るまで長期間かかり、その間のセーフティネットも脆弱です。

Q&A

Q1: 日本にいる難民は「不法滞在2」なのですか?

2024年に難民申請をした人のうち94%3が在留資格を持っています。しかし、在留資格がない状態の方もいます。緊急時ゆえに正規のビザ等なしに逃れて来ざるを得なかった、情報を知らず難民申請が遅れてしまった、また、日本の厳しい難民認定基準により一旦、難民不認定となり、2回目以降の難民申請時に在留資格がない状態となったなど、さまざまな理由があります。

複数回の難民申請をする人も、日本の難民認定制度上の課題ゆえに認定されず、なおかつ迫害の危険のある母国に帰ることもできないため、非正規滞在になることを受け入れやむを得ず再申請を行っているという実態があります。支援現場での経験から、かれらは意図的に非正規に滞在しようとしているわけではないと言えます。

Q2: 難民が増えると治安が悪化するのでしょうか?

SNSや一部報道で難民問題と治安悪化を結びつける意見が見受けられますが、それらを関連付ける統計なしに言説が広がっているのが実態です。統計によると、外国籍者の犯罪率は日本国籍者とほぼ同じか少なくなっています4

背景の異なる難民の受け入れにおいて、社会との摩擦や衝突はつきものですが、試行錯誤を重ねながら多様な人々との共生を図っている地域社会の事例もまた多々あります。難民の方の多くは日本社会で安心して暮らしたいと強く願っています。一部の情報がことさら強調して描かれる対立に振り回されず、そういった地域の努力や難民の方のリアルな思いをしっかり受け止めたいと考えており、JARでは自立に向けた支援や地域との連携などにも取り組んでいます。

Q3: なぜ難民は日本に助けを求めてくるのですか?母国に帰ることはできないのでしょうか?

日本をあえて選ぶというよりは、逃げる先を探すなかで、最初に日本のビザが下りたからといった理由が多いです。

難民は、母国に帰れば命の危険がある、あるいは人権の侵害のおそれがある人々です。日本は国際社会の一員として、難民条約に基づき、迫害から逃れてきた人々を保護する責任があります。

日本で受け入れられた難民の方が第二の人生をはじめる姿を、支援活動を通じて多く見てきました。JARでは、認定されるべき難民が認定され、傷ついた尊厳や失った権利を回復できるよう、活動をしています。

難民支援協会(JAR)概要

私たち難民支援協会は、1999年に日本で設立。
日本に逃れた難民への支援を専門に、累計8,000人以上の方々をサポートしてきました。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のパートナー団体です。

個人(約4,700人)や企業からの寄付、助成金等、さまざまな資金で活動しています。
第20回東京弁護士会人権賞(東京弁護士会)、第8回沖縄平和賞(沖縄県)等受賞。

団体名認定NPO法人 難民支援協会
設立1999年7月
代表理事石川えり
所在地東京都千代田区西神田2-5-2 TASビル4階

スタッフから

JARでは毎日、20名前後の方が来訪され、相談に応えています。どのように生き延びられるか強い不安に置かれる中でJARに感情をぶつけて来られる方もいますが、その背景をできるだけ理解するよう努め、面談を通じて訴えを受け止めています。

難民の方々への支援は、一人ひとりに対しても、また制度に対しても、長い時間が必要になると覚悟しています。ぜひこれからも、私たちを支えてくださるよう、お願いいたします。

  1. 難民認定率= 同年の認定数 ÷ (同年の認定数+不認定数)。日本の場合、190÷(認定190人+不認定8269人)=2.2%[]
  2. 国連や諸外国では、特定の状況にある人への不信感や差別意識を助長しないよう、「不法」という言葉を避け、「非正規滞在」「無登録滞在」といった表現を用いることが適切と呼びかけられています。[]
  3. 出典: 出入局在留監理監理庁 令和6年における難民認定者数等について[]
  4. 出典: 國崎万智「取材から見えた、日本のレイシャルプロファイリング現在地」宮下萌(編)『レイシャル・プロファイリング 警察による人種差別を問う』 2023年・大月書店[]