難民受け入れ政策を促す

政策提言・ネットワーク

難民が適切に保護され、受け入れられる
制度の実現を目指し、
政府や国会に
政策を提言します。

適切な制度の実現と運用を目指して、関係者や市民団体とのネットワークを構築し、国会議員・各省庁等に働きかけるなど、難民支援・保護制度の改善に取り組みます。

事業紹介

「入管法改正案」をめぐる動き

2023年6月、政府提出の「入管法改正案」が国会で可決されました。 難民申請者の送還を可能にするなど、保護の悪化につながる内容であり、JARでは、意見書を公表し、ロビイングや他の支援団体との連携を通じて、支援現場からの懸念の声を国会や政府に届けました。また、「難民の送還ではなく保護を」を合言葉に、世論喚起のためのキャンペーンを行いました。

改正法で最も懸念されるのは、難民申請者の送還を可能にする仕組みの導入です。3回目以降の難民申請者が主な対象とされていますが、複数回目の申請で認定を受ける人がいるなど、現行の難民認定制度では、難民として保護されるべき人が、それまでの申請によって十分に保護されているとは言えません。

「仮放免」に代わる制度として創設された「監理措置」も 、難民申請者の生活の安定化に寄与するのではなく管理を強めるもので、強く懸念されます。「なんみんフォーラム」※ の一員として行った意見聴取では、弁護士など9割以上の回答者が同制度を評価できないと答えています。収容制度についても、期間の上限や司法審査の導入といった、改善のための施策には至りませんでした。

一方で、国会での法案審議は、難民認定制度の課題に焦点を当てる機会ともなりました。例えば、難民不認定となった場合の再審査(審査請求)について、一次審査からの 独立性や、難民審査参与員による審査の適正性に対する懸念を裏付ける状況が明らかになりました。迫害を受けるおそれを証明することの難しさや、入管職員との面接への代理人の同席の必要性など、申請者が置かれた状況に寄り添った審査の重要性についても、課題提起がされました。

参議院での「難民等保護法案」の審議を通じて、難民保護を実現するための具体的な代替案も示されました。 これらの議論を踏まえて、法案には、制度の運用改善を求める附帯決議が採択されています。新たな法のもとで日 本に逃れた難民が出身国に送り返されることがないよう、改正法の運用への働きかけをはじめ、JARでは引き続き難民保護制度の改善に向けて取り組みます。

※国内で難民支援を行う団体によるネットワーク組織

政党での入管法案に関するヒアリングに参加し意見を述べる

難民申請者への「保護費」の増額

生活に困窮する難民申請者を対象に政府が支給する「保護費」について、JARでは他団体と連携し、内容の充実や支援の迅速な実施を求めて働きかけを行ってきました。2023年度には、住居費(単身者上限月4万円→6万円)や、子どもの生活費(日額800円→1,200円)の増額が行われ ました。しかし、2022年秋以降の難民申請者の増加もあり、必要な申請者に公的支援が行き届かない状況が続いています。保護費の支給を求めてから支援開始までに半年近く待たされることも珍しくありません。また、年間の受給者数は300人前後と、申請者のうちごくわずかしか利用することができない状態が続いています。引き続き、難民申請者が安心して生活できる制度づくりを目指します。

※ 2022年度年次報告書より

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