4月以降、それまでの半数程度の難民申請者が、唯一の命綱ともいえる政府の生活支援金(保護費)を受けられなくなっている事態を受け、民間支援団体は、難民の最低限の生活を支えるため共同キャンペーンを実施。政府の十分な予算措置がなされるまでの生活費を支援しています。
キャンペーン開始から3ヶ月が経過し、支援総額が1,500万円、件数は500人を越えました。これだけの難民の方に生活費を支援を提供し続けることができ、ホームレスの状態で相談に来た難民申請者には全て住まいを手配できていることは、皆さまのご支援があったからにほかなりません。ご協力いただいた皆さまに心より感謝いたします。
また、こういった状況は複数メディアにも取り上げられました。(詳しくはこちらから)
引き続きご支援を受けつけておりますので、ぜひ周りの方々にも本キャンペーンをご紹介ください。
また、保存のきく食糧やおむつ、粉ミルクを随時募集しておりますので、ご協力をお願いいたします。ご寄付、ご寄贈のお問い合わせはこちらよりご覧ください。
(物品の保存・管理の都合上、お手数ですが物品寄付にご協力いただける際は、事前にお問い合わせください。)
収入
・目標: 5,000万円(9月末まで)
・8/15までの寄付および助成金: 22,281,213円(実行委員会団体からの拠出を除く)
そのほか、お米、油、スープ、タオルなど、物資のご寄付もいただきました。
ご寄付・ご支援を下さった皆さまには、この場をお借りして心より御礼申し上げます。
支援金支給
・執行基準:1人当たり30,000円(単身者)、家族2人目〜20,000円、家族4人目〜10,000円
・執行総額:18,087,410円(8/1-8/15 2,604,700円)
うち、「宿泊費」分:1,083,500円 (8/1-8/15 56,800円)
・執行対象者総数:319人
うち、家族ケース32件、保護費を切られたケース108件
・執行件数(のべ):618人
*そのほか、緊急キャンペーンの支給対象に入っていない医療費、ビザ更新手数料、交通費などは、難民支援協会が従来から行っている生活支援金(緊急ファンド)より支給を行っています。
3ヶ月を振り返って 〜支援の現場から〜
難民支援緊急キャンペーン開始からの3ヶ月間を振り返って、事務局の難民支援協会(JAR)で生活支援を担当している櫻井美香に話を聞きました。
今までにない支援活動
3ヶ月間は長かったようなあっという間だったような、ただ非常に忙しい毎日だったというのが感想です。今までこんなに多くの支援金支給をしたことがありませんでしたので、例えば遠方のコミュニティに出かけ、まとまった人数に対して計数十万の支援をしたときなどは手が震えました。
キャンペーンに応えていただいた皆様のおかげで、これまでなんとか支援を継続でき、相談に来られた人についてはホームレス状態にして帰すことなく、住まいを提供することができています。「自分たちが支えないと」という緊迫感はこれまで以上に高く、張りつめた毎日が続いています。
最後の砦として
JARではキャンペーン以前からも困窮度の高い難民の方に対して1日あたり1,500円の「緊急ファンド」という金銭支援をしていました。保護費の補完的な関係として、保護費が支給されるまでの期間を支援するようなファンドでした。
4月になり、金銭支援を必要とする人がそれまでの10倍以上にのぼり、キャンペーンを開始。単身者の場合月3万円(1日あたり1,000円)の「生活カンパ」の支援をはじめましたが、予算の見通しがない中、多くの必要とする人に支援するためには日単価を下げるしかありませでした。緊急ファンドでも十分ではなかった中、その減額のインパクトは大きかったようで「月3万円では生きていけない」という声を数多く聞きました。特に「家賃の支払いをどうしたらいいのか」という相談が多かったです。
生活カンパの支援のために聞き取りを行う櫻井美香
また、この間家族を持つ難民からも相談も増え、「子どもに食べ物が買えない」「このままでは家族全員でホームレスになるか、ばらばらに暮らすしかない」などの声も寄せられました。
そういった状況は本当に、痛いほど良く分かるのですが、残念ながら私たちに提供できるものがこれだけしかないため、それを何回も説明し、分かっていただくよりほかありません。それが一番つらいところです。「何もしてくれないじゃないか!」と怒られることもたびたびあります。でも、そういった怒りをぶつける場所があるということは彼らにとってとても重要なことだと理解していますので、それを受け止めることも重要な支援のひとつと考えています。むしろ、疲弊しきっているのに、感情が出ない場合はかなり心配です。
もちろん、感謝の声もいただいており、「ありがとう」「おかげさまで薬が買えた」などの言葉や笑顔は、スタッフにとっても心のよりどころです。
これからの課題
やはりいつまで続けられるのかということが一番の課題です。
4月以前までは、少ないとはいえいくつかのリソースがありましたが、保護費が受けられない、仕事先も見つかりにくいとなると、「出口」がないという感覚です。
政府が優先的に支援すると決めた人に関しても、申請から支援決定に至るまでには非常に時間がかかっているようで、3ヶ月以上待っている人もいます。
最近では、長期間にわたる不安定な生活からくるストレスや天候不順などもあってか、かぜなど体調不良の人が多く見られるようになってきたのも心配です。食べ物も栄養価が高いものを十分に取れてはいないでしょうから、今後悪化する人も増えるかもしれません。
また、中には4ヶ月以上家賃を滞納している人もいます。幸いにも大家さんのご理解があり住むことができていますが、それもいつまでも続くということにはならないでしょう。滞納分はいずれ返済しなければなりませんが、あまりに金額がかさんでくるとその当てがどんどんなくなってきます。
支援金を受け取る難民の方々の中で「物品や金銭支援を受け続けるのは気がとがめるし、恥ずかしい。自分の力で生きていきたいので、就労支援をしてほしい」とおっしゃる方は少なくありません。JARでも、自活できる環境づくりが最も望ましいと考えています。就労資格のある人に対する職業訓練などのプロジェクトを考えていましたが、それをしたくても、この緊急事態が続く限り、難しいのが現状です。
政府に対しても、最低限のセーフティネットを確保していただけるよう、また長く待たされている方へは就労が許可されるよう求めていますが、早くこの状況を脱することができるような有効な政策の実施が急務だと感じます。
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この間、1ヶ月〜2ヶ月に1度、外務省とNGOとの意見交換会が開催され、現場の状況に関する報告や課題を伝えるなどのやりとりも行われています。その中で、保護費の支給の対象者(優先的に支給される人)の枠が少しずつではありますが広がったという成果も得られています。
実行委員会では、引き続き政府に対して、予算の増額を要望していくとともに、難民申請者の状況を注意深くモニタリングしていき、適切な支援を行っていく予定です。
現在の生活費も十分ではありませんが、今後最低限でも支援が続けられるよう皆さまからのあたたかいご寄付をお待ちしております。詳しくはこちらから。
*経過報告は2週間に一度お送りする予定です。
本件に関するお問い合わせ:
難民支援緊急キャンペーン実行委員会 (事務局:難民支援協会)
〒160-0004 東京都新宿区四谷1-7-10 第三鹿倉ビル6階
電話:03-5379-6001 FAX:03-5379-6002
info@refugee.or.jp https://www.refugee.or.jp/
難民支援緊急キャンペーン・呼びかけ団体
社団法人 アムネスティ・インターナショナル日本
カトリック東京国際センター
全国難民弁護団連絡会議
社会福祉法人さぽうと21
社会福祉法人 日本国際社会事業団
社団法人 日本福音ルーテル社団
特定非営利活動法人 難民支援協会(事務局)