活動レポート

難民支援緊急キャンペーン 経過報告

    2009年6月4日

    難民支援緊急キャンペーン 経過報告
    <報告期間:2009.4.27 – 2009.5.31>

    難民支援緊急キャンペーン実行委員会

    4月以降、それまでの半数程度の難民申請者が、唯一の命綱ともいえる政府の生活支援金(保護費)を受けられなくなっている事態を受け、民間支援団体は、難民の最低限の生活を支えるため共同キャンペーンを実施。政府の十分な予算措置がなされるまでの生活費を支援しています。
    1か月強の間に、のべ167人に対し、約370万円の支援金を支給しました。
    また、こういった状況に対し、複数メディアにて掲載されました。詳しくはこちらからご覧ください。

    収入

    ・目標: 5,000万円(9月末まで)
    ・5/31までの寄付および助成金: 4,915,300円 (実行委員会団体からの拠出を除く)
     *緊急カンパを開始(5/12)してから5月までに入金が確認できた額の合計です。

    そのほか、お米、カップ麺、タオル、歯ブラシなどの物資の寄付もいただいています。
    ご寄付を下さった皆さまには、この場をお借りして心より御礼申し上げます。

    支援金支給

    • 執行基準:1人当たり30,000円(単身者)、家族2人目〜20,000円、家族4人目〜10,000円
    • 執行総額:3,691,000円 (生活費のみ)
    • 執行対象者総数:127人
    • 執行件数(のべ):167人 

    *現状では、緊急キャンペーンの支給対象に宿泊費、医療費、ビザ更新手数料、交通費などは入っていませんが、難民支援協会が従来から行っている生活支援金(緊急ファンド)より支給を行っています。

    今後の課題

    • 東京以外に住む、保護費を切られてしまった申請者への支援・継続。(5月16日に出張相談を愛知県にて実施。10名への支援金支給)
    • 家賃の滞納が長期化することによるホームレス状態となる申請者の増加。
    • 不安定な状況が長期化することによる精神的なストレス。特に、梅雨の天候不順や夏の暑さなどによる肉体的な疲労による影響への懸念。
    • 支援金の不足・枯渇。
    住まいを失い、たった1つの荷物で相談に訪れる難民申請者

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    ケース事例

    1)アフリカ出身のAさん(男性)は、ジャーナリストとしての活動を理由に迫害をうけるおそれがあったため、はじめにビザがおりた日本に、とるものもとりあえず逃れてきました。日本には知り合いもおらず、言葉も話せません。来る前に日本に関する情報もほぼありませんでした。

    来日して難民申請をし、政府系団体の支援を受け、そのシェルターで居住した後、都内のゲストハウスに転居しました。半年が経ち、就労許可が下りましたが、不況により難民申請者にとって就労できる職場はほとんどと言ってよいほど無くなっている状況の中、保護費を受けながら、一方で自活できるよう職を得るため日本語を勉強してきました。しかし、今回の政府の方針の転換によって、保護費が打ち切られ、生活がままならないような状態に陥ってしまいました。

    難民申請者は国民健康保険に入れず、生活保護も受けることができないなど、申請者に対する社会保障制度は整っていません。そのため今回の保護費打ち切りにより、家賃を支払えなくなってしまったAさんは大家からの要求もあり、アパートを追われることになってしまい、スーツケースを持って難民支援協会に助けを求めてきました。

    キャンペーンに寄せられたご寄付から、生活費を支援しましたが、それも残念ながら十分ではありません。これまで以上に切り詰めた生活をしていますが、いつまた路頭に迷うのか、この状況がいつ改善するのかの見通しがないまま、一人、不安な毎日を送っています。

    2)アジア出身のBさんは、夫と幼い子どもの3人で暮らしています。母国での迫害や日本での不安定な生活、夫の収容などによるストレスから、体調も悪化しています。これまでは保護費と、同国人の仲間からの助けを借りて、何とか生活を行うことができていましたが、不況の影響で仲間も仕事を失い、頼ることはもはやできなくなってしまいました。また、子どもに対しての保護費支給は継続されるものの、4月以降、親には支払えないと通告されてしまいました。子どもへの保護費は1日あたり750円で、住居費は子ども1人分のみのため家賃の1/3だけです。医療費も保護費から支援はされますが、原則後払いのため、立て替えるお金がなく、通院をためらっています。一家は、子どもに満足な食事を与えることも、生活を維持することもできない状況に陥り、難民支援協会に助けを求めてきました。

    Bさんは、今後の生活とともに、自分のストレスが子どもにも影響しないか、成長に悪影響を及ぼさないか大きな心配をしています。Bさんは、「4月以降も子どもには支援をするといっても、子どもが一人で家を借りれるわけもありません。結局は、子どもを守ることにはなっていないのではないでしょうか。」と語ります。

    *実際の事例を元にモデル化したものです。
    *写真は本文中の登場人物とは関係ありません。

    ***

    実行委員会では、引き続き政府に対して、予算の増額を要望していくとともに、難民申請者の状況を注意深くモニタリングしていき、適切な支援を行っていく予定です。
    現在の生活費も十分ではありませんが、今後最低限でも支援が続けられるよう皆さまからのあたたかいご寄付をお待ちしております。詳しくはこちらから。

    その他、歯ブラシ、タオル、バスタオル、洗濯洗剤、粉ミルク、エコバック(食糧配給を受けるために必要)など日用品等も受け付けております。事務所スペースの都合がありますため、お手数ですが、ご協力いただける際はご送付前にご連絡をお願いします。

    *経過報告は2週間に一度お送りする予定です。

    本件に関するお問い合わせ

    難民支援緊急キャンペーン実行委員会 (事務局:難民支援協会)
    〒160-0004 東京都新宿区四谷1-7-10 第三鹿倉ビル6階
    電話:03-5379-6001 FAX:03-5379-6002
    info@refugee.or.jp
    https://www.refugee.or.jp/

    難民支援緊急キャンペーン・呼びかけ団体

    • 社団法人 アムネスティ・インターナショナル日本
    • カトリック東京国際センター
    • 全国難民弁護団連絡会議
    • 社会福祉法人さぽうと21
    • 社会福祉法人 日本国際社会事業団
    • 社団法人 日本福音ルーテル社団
    • 特定非営利活動法人 難民支援協会(事務局)