
JARの支援現場では、慌ただしい日々が続いています。来訪者は毎日20人前後。難民の人たちは、住まいや食料の確保、医療など、さまざまな困難を抱えながら、不安定な生活を余儀なくされています。スタッフは、一人ひとりから丁寧に話を聞き、状況に応じた支援を行っています。その判断には、人の生活や命がかかっており、慎重さと迅速さが求められます。
難民の人たちは、 それぞれ張り詰めた思いを抱えて日々を過ごしています。そんな中スタッフ同士で相談をし、「少しでも心温まる時間を過ごしてほしい」という思いから、難民の人たちを招いて、ランチ交流会を企画しました。

ランチの調理は、アフリカ出身の難民申請中の方々にお願いしました。
母国でフレンチシェフとして、働いた経験もある方が調理をリードしてくれました。




メニューは、野菜をふんだんに使い、お米と肉を合わせて、スパイスを効かせた蒸し料理とサラダ。準備段階から「きっとおかわりが欲しい人もいるから」とシェフたちはかなり多めに作る計画を練っていました。
当日は朝10時から約4時間をかけて、慣れない台所で進めてくれました。特にお米は、時間がかかっても丁寧に蒸すことにこだわりました。スタッフが「炊飯器なら簡単ですよ」と声をかけると、「本場のおいしさを味わってほしいからね」と笑顔で返してくださり、プロとしての姿勢に感心させられました。包丁さばきや盛り付けの美しさ、そして目分量で絶妙に仕上げる味付けに、シェフの力量がにじみ出ていました。

出来上がりは少し遅くなりましたが、集まった難民の人たち約20人とJARスタッフで、シェフ達こだわりのランチをいただきました。事務所での”相談”とは違う、おいしい料理とたわいのない会話に、みんなリラックス。冗談を言いながら、「おいしいね」と、笑顔が溢れました。
人が生きていくうえで、人や社会とのつながりはとても大切です。
今回の小さなランチ交流会に集まった人たちの多くは、制度的に不安定な立場に置かれています。働くことができない人、移動や活動など多くのことに制限が課せられ、ほんの些細な日常の営みも思うように過ごせない人。
こうした制約は、人とのつながりを感じにくい日常へとつながり、「この状態がいつまで続くのか」という不安の中で、精神的に追い込まれてしまうこともあります。
食べることは人を満たし、つながりを生みます。
この日は、難民の人たちも、スタッフも、みんな1人の人として、おいしいランチを食べながら、楽しむ時間が持てました。


帰り際に、難民の人たちに、スタッフからお土産を渡しました。お菓子などお土産を入れた帆布カバンにはスタッフとボランティアからのメッセージを添えました。
We always stand with you!
From JAR Family
私たちはいつもあなたと共にあります!
JARファミリーより
この日の小さなつながりと喜びが、難民認定の結果を待つ困難な期間を生き延びる力につながるように願っています。

〈難民支援協会の本〉
海を渡った故郷の味 Flavours Without Borders
ミャンマー、イラン、クルド、エチオピアなど世界15の国・地域から45の家庭料理を集めた日・英併記のレシピ本です。作り手は世界中から日本に逃れてきた難民たち。かれらの故郷の家庭料理を、日本にある材料で作れるよう再現しています。
