活動レポート

難民支援協会は、警察による不当な職務質問(レイシャルプロファイリング)の改善を求めるオンライン署名キャンペーンに賛同します。

(Updated: 2023.11.18)

2023.8.25追記:こちらの記事もぜひご覧ください。
ある難民申請者のレイシャルプロァイリング体験談

私たち、難民支援協会(JAR)は、日本における人種差別的な職務質問の改善を求める「STOPレイシャルプロファイリング」署名キャンペーンに賛同します。本日(5月24日)、オンライン署名サイトchange.orgにて、キャンペーンページが公開されました。

レイシャルプロファイリング1とは、警察などの法執行機関が、人種や肌の色、国籍などに基づき、個人を捜査対象としたり犯罪との関わりを判断したりすることを言います。

本キャンペーンでは、警察庁と国家公安委員会に対して、人種差別的な職務質問の改善を求めていきますが、同時に、この機会を通じて、レイシャルプロファイリング(人種差別的な職務質問)の問題を多くの人に知ってもらい、考えるきっかけにできるよう、当会も協力していきます。

私たちがキャンペーンに賛同する理由をお伝えします。

まずは、何より、難民の方々の多くも、レイシャルプロファイリング(人種差別的な職務質問)の被害者であることです。

私たちは、20年以上の支援活動を通じて、多くの方々から被害の話を聞いたり、職務質問の現場に電話で対応するなどしてきました。個々の事例を通じて出会った警察の方々と話をし、理解を求めるよう働きかけをしてきました。しかし、依然として、当事者の尊厳を傷つけるような、悪質な事例は絶えません。警察からの職務質問が「日常」の一部と言えるほど、頻繁に経験している人もいます。

こういった現場からのニーズに加えて、私たちが目指す「難民の尊厳と安心が守られ、ともに暮らせる社会」の実現のためにも、取り組むべき重要な課題だと考えています。被害の当事者が声を上げづらいからこそ、私たちが声を上げなくてはならない。そんな思いも強くあります。

こちらの2つの事例は、私たちが支援している難民の方の体験談です。

*個人が特定されないよう、一部情報を加工しています。

トルコ出身クルド民族の母子の事例

この母子は、自宅近くの公園で遊んでいた時に、職務質問を受けました。その公園はボール遊びが禁止なのですが、日本人の子どもも含め、日常的に多くの子どもたちはボール遊びをしていました。そうした状況で、警察がクルド民族の母子のところにやってきて、怒った口調で呼び止め、「ボール遊びは禁止です」と言いました。さらに、在留カードの提示も求めました。

アフリカ出身で仮放免中の難民申請者の事例

この方は、公衆電話で話をしている時に、突然警察に声をかけられました。彼は、在留カードがないため、仮放免許可書を提示しました。当時、新型コロナウイルス蔓延のため、仮放免更新の出頭の延期が続いており、1年以上入国管理局に出頭していませんでした。しかし、警察は、その実態を知らず、「逃亡している」と誤った認識をし、執拗に彼を問いただしました。なお、警察は、「パトカーを見て、公衆電話ボックスの扉を閉めた」から職務質問をしたと言っています。

なぜ、同じボール遊びをしていた「日本人」は職務質問をされなかったのでしょうか?公衆電話にいたのがアフリカ出身の人でなかったらどうだったのでしょうか?

警察の対応は適切だったのか、多くの疑問がある事例です。一方で、人種差別的な行動を取ってしまうことは、警察関係者に限った話ではありません。

見た目がいわゆる「日本人」らしくないという理由で、英語で話しかけたり、「どこから来ましたか?」と聞いてしまったりすることはないでしょうか?

本キャンペーンを通じて、日本における人種差別的な職務質問の改善を求めていくとともに、私たち一人ひとりも、自らのステレオタイプ(固定観念や思い込み)が偏見につながっていないか、差別を生み出していないか、振り返る機会にできたらと思います。

ぜひ、キャンペーンへの署名と拡散にご協力をお願いします。

■キャンペーン情報

キャンペーンタイトルSTOPレイシャルプロファイリング
キャンペーンページhttps://change.org/stopRPinJapan
ツイッターhttps://twitter.com/stop_rp_
ハッシュタグ#STOPレイシャルプロファイリング
#私のレイシャルプロファイリング体験談
#私が聞いたレイシャルプロファイリング体験談

5月25日(木)20時から、@Change.org_Japanにてインスタライブ開催
出演:宮下萌(弁護士)、下地ローレンス吉孝(社会学者)、エリカ(当事者)

<参考資料>

<本件のご取材に関するお問い合わせ先>

難民支援協会 広報部 田中 Tel: 03-5379-6001   press@refugee.or.jp

  1. 国連人種差別撤廃委員会(CERD)のレイシャルプロファイリングの定義:いかなる程度であれ、人種、皮膚の色、世系または国もしくは民族的出身を基に、個人を捜査活動の対象とする、または個人が犯罪行動に関わったかどうかを判断する警察および法執行の慣行のことである。このような文脈において、人種差別は、宗教、性別もしくはジェンダー、性的指向およびジェンダー・アイデンティティ、障害、年齢、移住者としての地位ならびに職業またはその他の地位といったその他の事由と交差して生じることが多い。(参照)国際人権NGO IMADRのウェブサイト https://imadr.net/cerd36-racialprofiling/[]