活動レポート

難民の方々とともに、厳しい冬を乗り越えるために

    石川 えり

    難民支援協会 代表理事

    いつもご支援、ご関心をお寄せいただき誠にありがとうございます。難民支援協会(JAR)代表理事の石川えりです。

    今年を振り返ると、昨年に引き続き、コロナ禍の出口がなかなか見えない1年間でした。そして、社会のより弱い立場に置かれている方が、コロナ禍の影響をより強く受けることを実感した1年でもありました。JARに相談に訪れる難民の方々も例外ではなく、やっとの思いで就職していた方が失業したり、また、もともと不安定な生活を送っていた方も、知人など支援してくれる周囲の方の失業や減収などにより、一層困窮に追い込まれてしまうということが続きました。

    そのような相談が寄せられる中、「コロナ禍であってもできる限りの支援を行う」という強い思いをもってスタッフ皆で日々対応にあたってきました。夏から秋にかけては、従来の困難な状況に追い打ちをかけるように、新型コロナの症状を訴える難民の方々からの相談も増えるようになりました。詳しくはこちらの活動レポートにありますが、とにかく素早く必要な医療につなげるよう奔走し、自宅療養となった方からの「食べるものもなく外出も禁じられている」という相談には、すぐに食べられそうなものやスポーツドリンクを送るなど、きめ細かな対応を行ってきました。

    一方、コロナ禍でも難民認定手続きは進み、不認定の結果を受け取った方々もいます。在留資格を失い、収容や送還の恐怖を感じ、これからの生活をどうしていけばよいか途方に暮れてしまう方々に向き合い、先が見通せない中で何とか日々をつなぐための支援をしているというのが実情です。

    そのような中で、今年の春に難民申請中の送還を可能とする入管法改正案が閣議決定され、国会に提出されたことは、難民の方々へ寄り添って支援を届ける私たちとしては見過ごせないことでした。この法案に関して懸念を表明するSNSでのキャンペーンを展開し、集まった声を議員に届けるなど、団体内外で取り組みました。このキャンペーンに非常に多くの方が賛同して下さったことは大変心強く、「これはわたしたちの問題だ」など、寄せられたコメントからは、難民の方々への共感の広がりをこれまでにないほど感じることができました。

    来年も、難民を取り巻く困難な状況は続くことが予想されますが、日本に逃れてきた難民の方々の力になるよう、あきらめずに活動を続けて参ります。JARを頼って訪れる難民の方々のよりどころとなり、必要な支援を届け続けます。また、年明けの通常国会に提出されるという報道もある入管法改正案へも難民支援、難民保護の観点から政策提言を続けていきます。

    皆さまには、このような私たちの活動を日ごろからご支援いただいていることに心より感謝しております。ここで今年最後のお願いをさせてください。JARの活動資金の約7割は皆様のご寄付で成り立っています。お一人おひとりからのご支援があって初めて活動を続けることができています。より一層寒さが厳しくなってきた今、社会の中で特に困難な状況にある難民の方々を、ご一緒に支えていただけましたら幸いです。

    皆さまにおかれましても、コロナ禍の出口が見えずにさまざまな状況にある中、難民支援にご関心を寄せてくださっていることに改めてお礼申し上げます。

     

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