活動レポート

【冬の支援のお願い】長く続く困難な状況のもとで、難民の方々が厳しい冬を乗り越えられるよう、どうか力を貸してください。

難民支援協会(JAR)には、様々な状況に置かれた難民の方々からの相談が連日寄せられています。以前より日本に暮らす難民の方々は、この冬も変わらず困難な状況に置かれています。

写真:公園のベンチに座る難民の方(イメージ)

コロナ以前に日本に逃れてきている方々の中には、難民申請の結果を待ちながら厳しい生活を続ける方や、難民申請が棄却され在留資格を失ってしまう方もいます。

難民申請の結果が出るのには平均4年以上かかり、その間は政府からの支援金を受け取れる人もいますが、その額は生活保護と比較し、3分の2程度と限られています。申請後は就労が許可されることもありますが、日本語も話すことができず、文化や社会背景の異なる国で就労をすることは容易なことではありません。また、コロナの影響により日本国内で多くの人が不安定な雇用状況にあるため、難民の方々が就労をするのは従来以上に厳しくなっています。

さらに、難民申請が棄却されると在留資格を失ってしまいます。公的に頼れるものもなくなり、収容のリスクがあり、危険な母国への強制送還を恐れるなど、精神的にもさらに辛い状況に陥ってしまいます。

それぞれに異なる状況に置かれ、抱える困難も様々な中、お一人おひとりの相談を慎重に聞き取りながら、ご本人とともに対応を考え、必要な支援につなげることを心がけています。

写真:事務所で難民の方と話すJARスタッフ(イメージ)

難民の方々は暖かい国から逃れてきている方も多く、日本の冬の寒さにはなかなか慣れない方もいらっしゃいます。日が短くなり、気温も一段と冷えこむこの季節は、気分も落ち込みやすくなります。光熱費が支払えない、防寒具が不足しているなどの物理的な厳しさに直面する方も多くいます。

できることが限られる中でも、JARを頼って連絡をくださった方々の支えになりたいという思いで、お一人おひとりに向き合い、支援を続けています。

実施している支援の内容

  • お一人おひとりの状況に応じた個別の相談対応(アラビア語など日英仏語以外の言語が必要な場合は通訳を手配し、相談に乗っています)
  • 難民申請に関する情報提供や弁護士の紹介などの法的支援
  • ホームレス状態に陥った方が一時的に泊まれるシェルターを提供し(25部屋)、満室時も他の宿泊先を紹介するなど、路上に寝泊まりすることのないよう支援
  • 食料や生活物資の配送(通常は事務所でお渡ししていますが、事務所に来られない方には配送も行っています)
  • 病気やけが、体調不良を訴える方を病院などの医療機関につなぎ受診をサポート
  • 生計を維持するために就職・転職が必要な方への就労支援 など

また、従来からの支援活動に加えて、今年は長引くコロナ禍や世界の情勢の影響を大きく受けており、その時々に必要な支援をできる限り届けられるよう、取り組んでいます。

【この夏以降の活動例】

●アフガニスタンの情勢を受けて
タリバンによる政権奪還以降、日本国内外のアフガニスタン人からの相談が急増しました。日本で難民申請中の方、日本の大学で学び帰国予定だった留学生、アフガニスタンに家族がいる方などから、日本や他の国に避難したいという相談や、日本での在留資格が切れてしまったらどうなるか、という不安などが多数寄せられています。在留資格の延長の可能性を探る、新たに難民申請をする方を支援するなど、できうる限りの支援を行っています。

加えて、アフガニスタンをはじめ、他の国や地域から難民として逃れてきた方々の保護を日本政府に求める声明を出した他、国会議員へ難民保護の必要性を訴える活動も続けています。

●新型コロナに関する支援
8月以降、難民の方からの発熱等の相談が増えました。医療費が払えないため病院の受診ができずJARに電話をかけてくる方が多く、それぞれの症状をJARスタッフが保健所や病院に伝え、コロナの検査や治療に繋げてました。また、予防のためのワクチン接種の情報提供や、希望される方を募ったワクチン接種も行っています。

JARに相談を寄せる難民の方々それぞれの状況に応じて、できる限り、必要な支援を届けられるよう取り組んでいます。脆弱な立場に置かれた難民の方々が厳しい冬を越せるように、そして、難民を受け入れともに暮らせる社会をつくるために、皆さまからのお力添えを、どうかお願いいたします。