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活動レポート

JARの法的支援-最適な選択のためのカウンセリング

日本の極めて厳しい難民認定に対して、難民支援協会(JAR)は保護されるべき人が難民認定を得ること、そのために必要な協力者を増やすことに取り組んでいます。

「3日前に日本にきました。国に帰ることができないのですが、どうしたら良いですか?」
JARの支援はこのような電話がかかってくるところから始まります。なかには、焦りから半ばパニック状態で、帰国したら待ち受ける恐怖について、せきを切ったように電話先で語り始める人もいます。

個別カウンセリングを通じた情報提供

JARは、そのような電話を受けたら、まず来訪の日時を調整し、最初のカウンセリングで約1時間半をかけて、国に帰れない事情を聞き取ります。内容は、母国で何が起きたのか、なぜ、どうやって日本にたどり着いたのか、パスポートやビザの有無や取得方法など、詳細にわたります。その内容によって、本人のとれる選択肢や、JARからのアドバイスは変わってきます。
例えば、難民認定が非常に厳しい日本では、母国に帰れない事情があったとしても、迫害の待つ母国への送還という最悪の結果を避けるためには、必ずしも難民申請が最良な選択ではない場合もあります。事例は多くありませんが、家族が他の国で難民として受け入れられていて、その家族のもとへ行ける可能性がある場合や、日本で別の在留資格を得られる可能性がある場合などです。

日本の難民認定手続きの流れや、その厳しさについても、初めのカウンセリングで伝えますが、厳しい現実を知ったときの反応はさまざまです。がっくりと肩を落として黙り込む人、泣き出してしまう人、怒りをあらわにする人―。感情を高ぶらせる相談者に対して寄り添い、励ましながら、本人が覚悟を決められるよう支援しています。難民認定は目指しますが、現実的に厳しい中で、本人にとって最良の選択ができるようにサポートすることが、JARの法的支援の重要な役割の一つです。

また、カウンセリングは非常に個人的な情報にも触れることになるため、信頼関係を築きながら、丁寧に進めていきます。母国で迫害を経験した方のなかには、名前を打ち明けることさえを不安に感じる場合もあり、数回のカウンセリングを重ねるなかで、徐々に心を開いて、ようやく話してくれるという場合もあります。
言語の問題もあります。JARでは現在、英語と多くの場合フランス語は対応できますが、それ以外の言語を話す方の場合は、通訳を手配しています。

空港や収容施設に出向いた支援も行います。空港で上陸拒否され、留め置かれている難民は、すぐに送り返されてしまうリスクがあるため、連絡があれば緊急で面会にいきます。それによって強制送還を阻止し、難民認定までサポートしたケースもあります。また、茨城県牛久と東京都品川の収容施設にも月1回ずつ面会に出向き、情報提供を行っています。このような事務所内外での法的支援のカウンセリングを、2016年度は1,074件実施しました。

弁護士との連携

「なぜ、日本は難民認定数が少ないか」で紹介した通り、日本で難民として認定されるには、母国に帰れない理由を客観的証拠に基づいて証明することが求められますが、その基準は極めて高く、自力で行うのは非常に困難です。難民認定された人のほとんどに弁護士がついていたという年もあります。
ケースを受任した弁護士は、難民の出身国の人権状況の収集・翻訳や、難民本人から迫害経験の聞き取りをもとにした陳述書・意見書の作成を行います。それらは、難民であることを証明する重要な材料となります。有益な事例があれば、他国の判例を参照・翻訳することもあり、膨大な労力がかかる手続きを平均3年に渡ってサポートすることになります。しかし、それに対して得られる報酬は、日本弁護士連合会による援助金(1件につき108,000円)のみです。難民支援を数多く引き受けている弁護士たちも、それだけでは到底生活できず、受任できる件数は限られます。そうした状況から難民認定手続きを請け負える弁護士は不足しており、JAR側の連携体制も十分ではないため、弁護士をつけて支援したい人のうちのごく一部の人しか、つなげられていないのが現状です。複数名の弁護士が弁護団となって、出身国や迫害の理由を同じくする複数名の難民を同時にサポートする場合もあり、最近ではLGBT弁護団、シリア難民弁護団などが立ち上がり、協働しています。

個人の弁護士に加えて、法律事務所の「プロボノ」活動における提携にも力を入れています。プロボノとは専門知識やスキルを生かして無報酬で行うボランティア活動を意味し、日本では特に外資系法律事務所が積極的に行っています。JARは現在、計10事務所/法人と提携。法律事務所側は、内容に応じて所内で必要な人材を集め、チームを編成し、サポートします。

受任できる弁護士を増やすため、難民支援に関心を持つ弁護士に向けたトレーニングを年1回開催しているほか、難民支援経験が浅い弁護士には経験豊富な弁護士を紹介し、助言を得られる体制をつくる取り組みを行っています。

また、JARの法的支援は、難民認定に向けたサポートだけでなく、認定された後の家族呼び寄せの手続き支援など多岐に渡ります。今後は、より多くの人を弁護士と連携して支援できる体制の拡充と強化を目指していきます。

写真:弁護士と連携して難民認定を得たあと、家族の呼び寄せもサポートしたケース

(2017年6月9日掲載)

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