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[パブリックコメント] 孤独・孤立対策の重点計画の素案等に対する意見の提出について

政府において検討中の「孤独・孤立対策の重点計画の素案等」では、当事者の例として「在留外国人」が挙げられています。難民申請者の一部が施策の対象外になることが懸念され、日本で暮らす全ての外国人を対象にするべきとの意見を提出しました。そのほか、孤独・孤立対策の前提としての、最低限の生活保障の必要性などについても述べています。意見書本文は、下記よりご覧ください。


2021年12月13日

内閣官房孤独・孤立対策担当室 御中
孤独・孤立対策の重点計画の素案等に対する意見

〒101-0065
東京都千代田区西神田2-5-2 TASビル4階
特定非営利活動法人難民支援協会
代表:石川えり
電話番号:03-5379-6001

 認定NPO法人 難民支援協会(※)は、「孤独・孤立対策の重点計画の素案等」についての意見募集(パブリックコメント)に対し、以下の意見を申し述べる。

※ 難民支援協会とは:日本に逃れてきた難民を支援する1999年設立の認定NPO法人。「難民の尊厳と安心が守られ、ともに暮らせる社会」を目指し、難民認定のための法的支援、医食住などの生活支援、自立に向けた定住支援、政策提言や広報活動を行う。

1.日本で暮らす全ての外国人を対象とした施策の必要性について(IIIー1(1))

 「孤独・孤立対策の基本理念」において、当事者の具体例として「在留外国人」が挙げられている。「在留外国人」とは、在留資格上の在留期間が3月を超える外国人を指す用語であり、短期滞在や非正規滞在の難民申請者が、施策の対象外とされることが懸念される。よって、「在留外国人」を「日本で暮らす全ての外国人」に修正するべきである。

 正規滞在の難民申請者の中には、実質的に3月を超えて滞在しているが、在留資格上の在留期間が3月であり、「短期滞在」とされる者がいる。また、2020年に難民申請を行った者のうち、約6%にあたる215人が非正規滞在者であった。さらに、2020年末時点の被退令(退去強制令書)仮放免者のうち、1,535人が難民申請中である。仮放免中の難民申請者は、住民登録が行われないため地域による支援が届きにくく、就労が認められないことから、「つながりや助けのない状態(p.6)」に特に置かれやすい。
 孤独・孤立による「痛みや辛さ(p.6)」への対応の必要性は、在留資格の有無や在留期間(※)によって左右されるものではない。むしろ、難民認定を得るまでの不安定さの中で、迫害のおそれから逃れた異国の地において、孤独・孤立が難民申請者に与える影響は非常に大きい。施策の対象者を、日本で暮らす外国人の一部に限定することは、「誰ひとり取り残さない(p.6)」との基本方針にも反するものであり、見直されるべきである。

※ 例えば、外国人の国民健康保険について、通常は中長期在留者等が対象とされるところ、一定の在留資格については、在留期間の始期から起算して3月を超えて滞在すると認められる場合の加入が認められている。このように、仮に在留期間による区別を設けるのであれば、実質的な在留期間を踏まえた施策の実施が望まれる。

2.外国人を意識した情報発信の必要性について(IIIー2(1))

 「孤独・孤立対策の基本方針」において、支援情報が網羅されたポータルサイトにおける情報発信等を行うとしているところ、情報発信等は、やさしい日本を含む多言語で行うことを明記するべきである。

 既に公開されている「孤独・孤立に関する各種支援制度や相談先を一元化して情報発信するホームページ(p.5)」は、日本語以外の言語による相談や支援のニーズを意識した内容になっていない。孤独・孤立の当事者として外国人を想定している中で、支援へのつながりやすさに、当事者間で差が生まれることが懸念される。外国人当事者の取り残されやすさの表れであり、基本方針において、多言語発信の重要性を強調することの意義は大きいと考える。

3.外国人を含む当事者からの意見聴取の必要性について(その他意見)

 孤独・孤立の当事者として外国人を想定しているところ、「孤独・孤立に関するフォーラム」のテーマに外国人が含まれておらず、外国人特有の悩みやニーズを踏まえた施策の検討が困難であることが懸念される。重点計画の決定前に、外国人当事者や支援者の意見を聴取し、ニーズを十分に把握した施策の検討を行うべきである。

4.孤独・孤立対策の前提としての最低限の生活保障の必要性について(その他意見)

 「孤独・孤立対策の現状」において、生活困窮による不安や悩みが孤独・孤立の問題につながる様子が分析されているところ(p.3)、日本で暮らす外国人の中には、生活保護を利用することができず、就労が許可されないなど、生きていくことすらも困難な状況に置かれる者がいる。孤独・孤立対策は「精神的な状態(p.6)」や「つながりや助けのない状態(p.6)」に対処するものであるとされるが、その前提として、まずは、日本で暮らす誰もが生活困窮に陥ることなく、最低限の生活を保障される施策が実施されるべきである。

以上