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衆議院予算委員会にてシリア難民の受け入れと難民の家族統合に関する質問および答弁

    2014年2月26日の衆議院予算委員会にて、公明党の遠山清彦議員が日本のシリア難民の受け入れ状況と、難民認定を受けた人の家族統合に関する質問を行いました。
    映像は衆議院インターネット審議中継よりご覧いただけます。
    Q.遠山議員
    法務省にシリア難民の問題について伺います。シリアでの紛争開始後、日本で、何人のシリア難民が難民申請をしているか、また、その申請したシリア出身者のうち、難民認定をされた人は何人で、また、難民認定はされなかったけれど人道的配慮で、在留資格を付与された人は何人か。まず数字ですけど、お答えください。
    A.法務省官房審議官:
    平成23年から25年までのシリア人に関する統計数値は次の通りとなっております。なお、平成25年の統計数値につきましては、現在集計中であるため、未確定の数値も含んでおります。この期間に受理した難民認定申請は52件です。またこの期間に審査結果を出したのは34件、この後、難民として認定した事案はございませんでした。これら34件のうち、33件につきましては難民条約上の難民には該当しないものの、本国事情等を踏まえ、人道的配慮により我が国への在留を認めることといたしました。
    Q.遠山議員:
    52人のシリア人が難民申請をして、審査が終わったのが34人。そのうち33名、ほぼ全員近くに、難民認定はしていないけれども在留資格を付与した、と。これは、国際水準で言えば、人道的な配慮は日本政府としてはしている、とはかなり言えるのかなと思いますが、あえてその上でお聞きしたいと思います。私は公明党の難民問題PTAの座長もしていますので、色々情報が入ってくるわけですが、例えば国際社会ではスウェーデンが、シリアの国内情勢がああいう状況ですので、シリアからの難民申請は100%受け入れると表明していると聞いておりますし、他の先進諸国においても、現在のシリア情勢に鑑みて、同国からの申請者が数多く、実際、難民として認定されているという情報があります。日本で、難民認定がゼロというのは、なぜでしょうか。
    A.法務省官房審議官:
    我が国の難民認定制度は、難民条約上の難民に該当するかどうかを審査し、判断するものです。シリア紛争から逃れてきたシリア人からの申請についても、本国の客観的な事情のみならず、申請者の個別事情をも考慮して、条約上の難民に該当するかどうかを判断しているところです。なお、難民と認定しない場合でも、シリア本国の情勢等を踏まえ、人道上の配慮が必要だと認められる場合には我が国への在留を認め庇護を図っています。
    Q.遠山議員:
    日本政府の公式な立場としては、今のシリアのアサド政権の非人道的な行為等々について相当厳しい立場を国際社会に表明してきていると思います。それで、難民申請者も個別に、「シリアから来た」というだけで、はい、難民、という風にならないのはその通りだと思いますが、他方で、一般的に報道されているニュースを見てもかなりひどい迫害を受けている人々が相当数いるのは明らかです。他の先進国のように、シリアから来たからすぐ認めるというのは行き過ぎにしても、これから難民申請者が増えていく中で日本は難民認定ゼロですよというのは、国際社会から見ると、厳しすぎるじゃないか、ということは言われかねないと思いますので、そこは少し、念頭に置いていただきたいです。当然、適正な審査はしていただいて結構ですが、シリアの状況が状況ですから、難民認定ゼロですよというのも少し違和感があるなと思っていますので、その点は指摘だけさせていただきます。
    最後の質問になります。難民認定をすでに受けた人についての話です。シリアに限りません。難民認定を受けた人の家族というのは、国際標準では、UNHCR等に伺いますと、原則的に、近しい家族を呼び寄せることができるということになっています。日本の場合も、もちろんケースバイケースで、家族を呼び寄せるか呼び寄せないか当局が判断していると思いますが、色々な難民支援の関係者から伺っているところでは、日本では難民と認定されているのに、例えば、両親を日本に呼べないとか、配偶者を呼べないとか、子どもを呼べないとか、こういうケースが意外とあると聞いています。先ほど、審議官がおっしゃったように、厳格な審査を行なって、母国において迫害があると、政府が認めている難民のことを言っているわけですから、その直近の家族が母国に残されているのであれば、その家族も、本人と同等もしくはそれ以上の迫害を受ける蓋然性があるという推測が成り立つわけで、私としては、難民として認定をすでに、日本政府からされた方々については、一定の条件を設けた上ではありますが、親、子ども、配偶者といった範囲については、ほぼ自動的に家族統合を認めて頂いていいのではないかと思います。その点について伺って終わりたいと思います。
    A.法務省官房審議官:
    先生から難民認定された方の家族についての入国、在留が認められていないのではないかというご指摘がありましたが、難民として認定された方は定住者としての在留資格を許可されて在留すると。その配偶者や子どもについても、定住者の在留資格を許可して、本邦での入国、在留が認められているという状況でございます。
    Q.遠山議員:
    最後に一言だけ。そういうご答弁でございましたが、少し私が聞いている現実と齟齬があるようですので、そこは具体的に確認して、協議をさせて頂きたいと思います。
    *お詫び
    本記事は内容に誤りがあり、訂正いたしました。「衆議院法務委員会」と記載しておりましたが、正しくは「衆議院予算委員会」です。失礼いたしました。