活動レポート

約10年支援してきた無国籍の方の勝訴。「地球上で行き場を失う」東京高裁 難民と判断

    旧ソ連出身の無国籍の男性を難民と認めず、強制送還を命じた国の処分の是非が争われた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は2020年1月29日、処分を違法と認めて取り消す判決を下しました。
    野山宏裁判長は男性が難民に当たると指摘した上で、「地球上で行き場を失うのは明らかだ」として送還を命じた国の判断を批判しました。
    男性は旧ソ連時代に現在のジョージアで出生しましたが、ジョージアの独立や旧ソ連崩壊の混乱のなか人種による迫害を受け、生き延びるために出国、無国籍となりました。安全な場所を求めて欧州各国を転々とした後、2010年に来日、難民の認定を申請しましたが認められず、認定を求めて提訴していました。
    JARではこの方が2010年に来日された当初より、支援を行ってきました。
    判決の前日、JAR事務所を訪れたご本人は「悪い結果が出ることしか考えられない、敗訴だったらその後はどうしようか、その場で捕まってしまうのだろうか…」とスタッフに不安を吐露していました。そして迎えた当日、勝訴の判決が言い渡されると、共に裁判を闘ってきた弁護士たちが歓喜の涙を流す中、ご本人は顔を上気させて喜びをかみしめていました。
    事務所では、裁判の傍聴に行けなかったスタッフやインターンが、固唾をのんで判決の結果を待っていました。勝訴の報せが入ると事務所は歓喜に包まれ、拍手がわき起こりました。
    まだ上告される可能性や再び難民不認定となる可能性も拭いきれず、また、これから生活の基盤を作っていく必要があり、喜ぶばかりではいられません。この方が速やかに難民として認められ、日本で希望を持って生活できるよう、JARはひき続き支えていきます。
    ※写真は支援事業部スタッフの田多が、ご本人から電話で報告を受ける様子です。
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