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難民支援協会と、日本の難民の10年

立正佼成会一食平和基金・保科和市さんのお話

1999年9月の「佼成新聞」には、「私たちは大波にのみ込まれるかもしれない航海へ、恐れも知らずに漕ぎ出した小舟のような存在でしょうか。しかし、立正佼成会の皆さんからのご支援が大きな励みとなり、勇気を与えてくれました」と語る難民支援協会(JAR)理事の言葉が紹介されています。
立正佼成会一食平和基金、事務局長・保科和市氏にJARへの支援の思いを聞きました。
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 当時(95年から97年)は、日本で難民申請をする人が年間100人程度なのに対し、認定される人が1人といった状況でした。しかも国内の難民支援に対する社会の関心は、海外の難民に対する場合に比べて大変低く見えました。そのような状況であればこそ、私たちは設立前の準備段階からJARさんへの支援を決めたのです。ひとりの人間のいのちの尊さや幸せになりたいという思い、そして努力することのできる権利には分け隔てが無いのではないでしょうか。海外の難民さんに関心を寄せられるのであれば、それは国内の難民さんに対しても同じであるはずです。

 1990年代前半から旧ユーゴスラビアの民族紛争の勃発などにより、世界の難民に注目が集まる中、立正佼成会自身も旧ユーゴの紛争難民の子どもたちに手作りのプレゼントを贈り、また「アフリカへ毛布をおくる運動」に積極的に参画するなど、難民さんとのご縁をもっていました。それは、「人間は大切」であるからこそ、難民になってしまっている状態の改善のために何か役に立ちたかったのです。海外であろうと国内であろうと変わりはありません。しかも、私たちが難民問題に触れたそもそものきっかけは80年代に日本に来たインドシナ難民の支援でした。その意味でも、国内の難民支援に対して従来から問題意識があり、何か力になりたいと思っていました。

 しかし現実には、専門の知識や技術およびネットワーク力などで、自分たちの能力は大変限られたものです。そのような時に、国内の難民支援に専門に取り組もうという志を持ち、熱意に溢れた方たちに出会い、期待と信頼を込めて支援を決断したのでした。それがJARだったのです。

 また、いろいろな意味でJARのスタッフの方々の姿勢にも惹かれました。私たちは本当に受益者のためになるプロジェクトを実行するかどうか、組織体制やプロポーザルの中身に併せて「人」の要素もある程度勘案しながら、支援の可否を決めます。JARの方に実際にお会いし、難民さんの生活の向上と尊厳の回復に対してまっすぐに心を向けておられるという印象をもち、設立準備段階からの支援を決定しました。

 私たちが特にJARに期待していたことは2つあります。

 まず1つは、一人でも多くの人が現実に救われることです。「一食平和基金」は、月に数回一食を抜くことで自らが空腹を味わい、今この世で貧困や紛争などにより多くの人びとが苦しんでいることを思い出し、平和への祈りを込めてその食事の分のお金を基金に献金するという「一食を捧げる運動」が母体となり、様々な平和活動に活かされています。 

 そのような意味で「一食平和基金」では、平和の実現には多種多様な取り組みが必要であることを肯定しつつも、困難な状況におかれ苦しんでいる人が今具体的に助かることに、特別の意義を認めるのです。ですから、団体が組織として整っていることや事業が計画通りに進むことは大切なことだと思いますが、それだけでは十分ではありません。個別具体的に一人でも多くの難民の方が救われて、はじめて支援の目的が達成でき、やりがいがあるのだと思っています。

 もう一つは、JARの活動を通して世の人々の国内の難民に対する関心が呼び起こされることも期待していました。正当な意味での難民の方々が日本に助けを求めて来られたときに、大切にされ生活がしやすいような社会の土台は、法規や行政のシステムだけでなく人々の関心や意識によって大いに作られるのだと思います。そのため、JARが活発に広報活動を行い、人々の関心を高め意識を変えていくことにも期待してきました。

 今後もさらなる熱意を持って活動していかれると思いますが、これからさら私たちが期待することは、日本の社会にあって自分たちにしかできないことは何かをあらためて自覚し、それを外に向けてアピールしていかれることです。世の多くの方々が、損得を越えて他の人の幸せに貢献できる機会を求めておられると思います。

 JARには、ご自身の業務環境では質素さを保ちつつ、事業の対象である人びとのために大いに力を注ぐという実績があるので、そういう意味でも私たちはJARの活動に期待しています。

(インタビュー:2009年8月)

立正佼成会一食平和基金
http://www.ichijiki.org/

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