難民支援協会と、日本の難民の10年

庇護希望者の生活保障に関する国連勧告

庇護希望者の生活保障に関する国連勧告

■自由権規約委員会

第94回会期
2008年10月13日~31日

規約第40条に基づき締約国より提出された報告の審査
自由権規約委員会の最終見解

パラグラフ25
 委員会は、2006年の出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律(以下、改正入管法)が、庇護申請者を拷問の危険のある国へ送還することを明示的に禁止していないこと、申請数に比べて庇護申請者の認定率が低いままであること、難民認定手続にしばしば相当な遅延があり、その期間に申請者は働くことができず、社会的な支援が限定されていることを、懸念をもって留意する。また、法務大臣に助言する難民参与員は独立して任命されておらず、拘束力のある決定を出す権限がないことから、法務大臣に対する難民不認定処分に関する不服申立てをしうるとしても、独立した審査ではないことを懸念する。最後に、拒否された庇護申請者が、退去強制令書の執行を延期する申請への否定的な決定につき不服申立てを行える前に送還されたとの報告事例を懸念する。(第7条及び第13条)
 
 締約国は、庇護申請者を拷問や他の虐待の危険のある国へ送還することを明示的に禁止するため、出入国管理及び難民認定法を改正することを検討し、また、全ての庇護申請者に対し、弁護士、法的扶助、通訳、全ての手続期間中における適切な国による社会的支援又は雇用にアクセスする機会を確保すべきである。法務大臣によって「テロリストの可能性がある」と思われた申請者をも対象とする完全に独立した不服申立機関を設立すべきであり、拒否された申請者が、庇護申請への否定的な決定につき不服申立てを行う前であって行政手続の結論が出た後直ちに送還されないようにすべきである。


*日本語仮訳(外務省ウェブサイトより抜粋)
*原文:https://documents-dds-ny.un.org/doc/UNDOC/GEN/G09/401/08/pdf/G0940108.pdf

■人種差別撤廃委員会

第76会期
2010年2月15日~3月12日

条約第9条に基づき締約国が提出した報告書の審査
人種差別撤廃委員会総括所見


パラグラフ23
 委員会は、難民の地位決定の過程における進展を評価を持って留意しつつも、一部の報告によると、特定の国からの難民申請者に対して異なる、優先的な基準が適用され、国際的保護を必要とする異なる出身の難民申請者が強制的に危険な状況に送還されたという懸念を繰り返す。また、委員会は、難民申請者に関する情報への適切なアクセスや手続の理解の欠如、言語やコミュニケーション問題および一般の人による難民問題への理解の欠如を含む文化的かい離など、難民自身が認識している問題に関して懸念を表明する(第2条、5条)。

 委員会は、締約国が、すべての難民に標準化された難民申請手続きと、公的サービスにおける平等な資格を保障するために必要な措置をとることを求める勧告を繰り返す。この関係において、すべての難民申請者がとりわけ十分な生活保障や医療への権利を享有できるよう保障することを勧告する。委員会はまた、締約国が第5条(b)にしたがい、誰であれ、その生命や健康が危険にさらされると思える相当な根拠がある国に強制的に送還されないよう保障することを促す。委員会は、この点において締約国が国連難民高等弁務官に協力を求めるよう勧告する。

*日本語仮訳 Ver.1作成:人種差別撤廃NGOネットワークより抜粋)(外務省ウェブサイト
*原文:JAPAN CERD/C/JPN/CO/6

2010年6月24日掲載

2022年5月22日 自由権規約委員会の最終見解(原文)、人種差別撤廃委員会総括所見(日本語訳・原文)へのリンク修正