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難民情報ライブラリー:政策提言・調査報告

難民認定申請者等に対する生活状況調査(2002年5月14日)

特定非営利活動法人難民支援協会では、難民および難民申請者の生活状況について100名に実態調査を実施し、「難民認定申請者等に対する生活状況調査」をまとめました。

報告書ご希望の方は、(財)アジア福祉教育財団難民事業本部までお問い合わせ下さい。

背景

近年、申請数、認定数の増加と出身国の多様化が進む中、難民および申請者の日本での生活実態については、これまで殆ど知られることがなかった。当協会が日本にやってきた難民および申請者への支援活動を実施し、年間170件程受ける相談業務においては、日常生活に関する問い合わせが後をたえない。相談内容も「今日、泊まるところがない」、「食べるものを買うだけのお金がない」という緊急対応を必要とするものから「健康保険等どのような公的サービスがあるのか分からない」、「働くところが見つからない」などの様々な問題を抱えている。また、難民と認められた後も相談にやってくる人数が増えている現状がある。一方、難民および申請者の処遇については国連からも勧告を受けるに至っている。
当協会ではこのような実態を踏まえ、難民および申請者の生活実態について調査をする必要性があると考え、実態調査提案書を外務省に提出した後、難民事業本部より調査委託を受けるに至った。
以下、「難民認定申請者等に対する生活状況調査」の概要をお知らせいたします。

1.目的

認定を受けた難民のための支援措置のあり方、また申請、認定そして自立というプロセスにおいて円滑な移行を確保するための難民支援のあり方にかかる今後の検討の基礎資料とするため、難民および申請者が置かれている状況の把握を目的に実施された。

2.調査対象・調査対象の内訳

調査対象者:100名、(申請者:75名 難民:25名)
ミャンマー(ビルマ)24人、アフガニスタン18人、トルコ17人、パキスタン7人、イラン7人、その他27人

3.実施期間

2001年9月1日?2002年2月28日

4.調査方法

面接による聞き取り調査を実施した。なお、日本語での面接ができない場合は、必要に応じ通訳を介し各自の母語ないしは英語で行った。

5.主な調査結果

(1) 職業

  • 失業率:39%、就労斡旋希望:73名
  • 就労形態:パートが49名
  • 月収:6割は15万円未満

(2) 公的扶助

  • 公的扶助を知らない人:生活保護:82名、児童扶助手当:95名

(3) 医療

  • 健康保険未加入者:68名
  • 1回あたりの平均診療費が1万円以上の人:20名
  • 体の状態が「よくない*」と回答した人:54名
  • 心の状況が「よくない*」と回答した人:64名
    *=「よくない」、「どちらかと言えばよくない」との合計
    

(4) 日本語教育

  • 日本語学習希望者:86名

(5) 家族呼寄せ

  • 家族呼寄せ希望:配偶者がある者19名中18名、子どもがある者63名中54名

6.提言骨子

I .取り組むべき課題

難民の自立を実現するために、政府、NGO等関連団体による連携の下、以下の措置が具体的になされることが望ましい。 

  1. 難民への情報提供体制の整備
  2. 生活に関する情報を実際に利用できるためのケースワーカー・通訳の設置
  3. 個別のニーズに応じた日本語教育方法の検討
  4. 難民への就労斡旋
  5. 関係者(公的扶助を提供する行政窓口や雇用主等)への情報提供
  6. 家族呼寄せの手続簡素化
  7. 難民の住居を確保するための諸施策
  8. 教育に対する支援
  9. 難民を取り巻く諸状況の調査(トラウマ・精神的ストレス、子女教育等)

II .あるべき申請者の支援体制

申請者は難民の認定についての決定を待っている者であるが、人道的観点から医療、公的扶助、在留資格の付与、就労許可等の支援措置が講じられるべきであり、これらの課題については諸外国の情勢等も踏まえ、速やかに検討がなされるべきである。

III .総合的検討体制の確立

難民を取り巻く支援の課題に総合的に対処するためには、すべての関連する方面の関係者、具体的には関係各省庁代表、関係地方自治体代表、国連機関代表、研究者、法曹、難民支援NGO関係者等を巻き込んだ検討会が早急に設立される必要がある。