解説記事・声明等

社団法人アムネスティ・インターナショナル日本、特定非営利活動法人難民支援協会

    法務省入国管理局は、2月18日、昨年11月17日に収容したトルコ国籍のクルド難民B氏及び昨年7月5日に収容した中国国籍の難民A氏(両者とも国連難民高等弁務官事務所<UNHCR>がマンデート難民と認定)につき、仮放免を許可して身柄を解放しました。頭書2団体はこの措置を歓迎し、以下の声明を発表します。

    2005年2月19日

    UNHCRが難民と認めたマンデート難民の仮放免を歓迎し日本におけるさらなる保護を期待する

    昨夜(2月18日(金)夜)、法務省入国管理局(東京入国管理局)は、UNHCRにより難民(いわゆる「マンデート難民」)として認定されたにもかかわらず昨年11月17日以来収容されてきた、トルコ国籍のクルド難民B氏に対して、仮放免を許可した。また、同日、法務省入国管理局(東日本入国管理センター)は、同様にマンデート難民と認定されながら収容されていた中国国籍のA氏についても仮放免を許可した。
    頭書2団体は、法務省入国管理局がUNHCRの判断を尊重して仮放免許可を行ったことを心から歓迎するとともに、日本におけるマンデート難民に対するさらなる法的地位の安定化をここに強く求めるものである。

    (参考)マンデート難民に対する、近時の収容・送還・仮放免の状況

    • 1月18日(火)−東京入管が、マンデート難民K氏及びその長男(トルコ国籍クルド人)を本国トルコに強制送還。
    • 1月24日(月)−東京入管は、上記マンデート難民K氏一家の残る5名に対して、仮放免許可更新。
    • 2月10日(木)−東京入管がマンデート難民S氏(トルコ国籍クルド人)に対して仮放免許可。
    • 2月14日(月)−東京入管がマンデート難民シェイダ氏(仮名:イラン出身)に対して仮放免許可更新(高裁敗訴後の仮放免許可更新は、難民支援協会が把握している限り、最近ではまれである。)
    • 2月18日(金)【上記】−東京入管がマンデート難民B氏(トルコ国籍クルド人)に対して仮放免許可。東日本入国管理センターがマンデート難民A氏(中国国籍身)に対して仮放免許可。

    今なお残る、トルコ出身のクルド難民申請者への深刻な動揺

    昨年6月〜7月、法務省入国管理局は、日本で難民申請をしているトルコ国籍クルド人難民申請者の個人情報をトルコ政府に開示し、トルコ当局(警察、憲兵隊)を同行して難民申請者の本国自宅を訪問するなどの調査を行った。この調査に加え、前記の本年1月18日のマンデート難民のクルド人(トルコ国籍)の本国強制送還事案が発生したことにより、トルコ国籍クルド人難民申請者の多くが、日本の難民認定制度と入国管理実務に対して、深刻な不安と不信感を増大させている。
    頭書2団体は、上記の状況に鑑みて、マンデート難民として認定されているか否かにかかわらず、上記トルコ調査の影響受けたクルド人難民申請者に対しては特に十分な保護を与えられるべきであると考える。
    また、日本の入管当局に対し、難民の地位に関する条約(難民条約)35条を遵守してUNHCRの任務遂行に協力し、とりわけUNHCRがマンデート難民として認定している難民の保護に関して十分な協力を行うことを、ここに改めて要請する。