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活動レポート : 政策提言

2017年衆議院選挙における難民についての論点

今回の衆議院選挙に際して、各政党がマニフェストで難民についてどのように触れているかをまとめました。コメントとともにご紹介します。

難民について

難民について直接的に言及しているのは公明党、日本共産党、社会民主党です。幅広い解釈が可能な表現があるものの、どの党も難民を適切に認定し、受け入れるため施策について前向きに取り組む旨が約束されています。とりわけ、難民として認定を受けた人、人道配慮等の在留許可を受けた人たちへの支援については、選挙後にさらに前向きな進展がみられるのではないかと期待しています。
難民認定のあり方についても上記3党からも言及がありました。日本共産党が最も切り込んでいます。「難民」の定義を極端に狭くしている認定のあり方や、入管行政と難民審査行政が一体となっているような難民審査体制の改正を見据えた法改正までを視野に入れた内容になっています。
公明党が指摘する「適正な手続き」は、中身についての言及はありませんが、国際的な適正手続き(デュープロセス)についての基準を踏まえたものなっていくよう選挙後に具体的な施策が出されることを期待しています。
日本共産党からは難民認定申請者の生活支援について具体的な言及がありました。現在、平均で2年4カ月を要している審査の待機期間に、難民認定申請者の最低限の生活保障が十分でないことは大きな課題です。
難民が社会の一員となるための社会統合の視点や、日本語教育などの受け入れインフラ、子どもの教育を含む保護(Child Protection)、など隣接する課題も多くあります。これらの課題について選挙後も引き続き、国会にて議論が深まり具体的な政策が作られていくことを期待します。

外国人労働者について

自民党と希望の党では外国人労働者の受け入れについて、公明党と自民党は高度人材の受け入れについてそれぞれ言及し、日本共産党はすでに日本で労働者として働く外国人とその家族の人権保障等について述べています。
現在、一部であるにせよ、難民申請という手段が就労のみを目的とする人に使われているのは、他に日本で就労を続ける手段が極めて限られている背景があるからです。この状況を解消するためには、難民認定申請者の権利を大幅に引き下げる懲罰的なものではなく、労働力を必要とする日本社会の現状に見合った外国人労働者の受け入れや移民政策など、より根本的な取り組みが必要と考えます。
移民政策について明言した政党はありませんが、外国人労働者、その家族を受け入れる上での総合的な政策について今後議論が深まることを期待します。

以下、政党ごとに詳しくみていきます。

〇公明党

急増する難民申請者問題に対応するため難民認定制度を適正化するとともに、認定難民及び人道的配慮等で保護された外国人への日本語支援等、公的支援を強化します。

難民認定申請者が急増しているのはその通りです。適正化について、何を適正としていくのか、難民として認定されるべき人が、不認定となり認定されていないという根本的な問題が提起され、取り組まれることを望みます。
人道配慮による保護を受けた外国人への日本語支援、公的支援は現状ほぼありません。新たな対応が求められる部分であり、選挙後にどのように実現していくか、注目していきたいと思います。また、マニフェストでは、人道配慮【等】となっているため、幅広く保護される人を想定しています。認定された難民、人道配慮による在留許可を得た難民の家族、第三国定住により受け入れられた難民、また留学生で受け入れられているシリア人も支援対象として含まれるよう期待します。

public assistance for refugees.png
〇日本共産党

「難民問題に、日本政府は先進国として積極的な役割を果たすよう求めます」の段落より抜粋
――シリア難民危機に対応した難民の受け入れを適切に行うこと。

「日本政府の難民認定のありかたを抜本的に改善する」の段落より抜粋
・難民認定者には、国際救援センターで日本語教育、社会生活への適応のための指導、就職あっせんなどの定住支援が6カ月間実施されます。退所後も、生活面でのアフターケアなどを改善する必要があります。
 ――「難民」の定義を極端に狭くしている認定を改善します。
 ――入管行政と難民審査行政が一体となっているような難民審査体制の改正を含めた法制度の整備を急ぎます。
 ――難民申請者の生活保障と難民認定者への支援を拡充します。

国際社会と連携し、よりシリア難民を受け入れていくという呼びかけは、他党にはなく唯一のものとなります。
難民がなぜ認定されないのかという理由について、定義を極端に狭くしている審査のあり方に求め、審査体制を変えるための法整備にまで視野に入れている点は意欲的です。支援団体にとって切実である難民認定申請者の生活保障の拡充にも触れられています。生活保障するためにどのような形態をとるのか、就労支援をするのか、外務省の保護費を拡充していくのか、いずれにせよセーフティーネットの抜け・漏れがないような制度設計が必要となります。
マニフェストの文言の中で1点訂正は、国際救援センターではなく、現在はRHQ支援センターです。上記表で述べているように、RHQ支援センターでの定住支援を受ける対象が、現状では難民認定された条約難民と、第三国定住のみですが、人道配慮による在留許可者等へも門戸を開いていくことを期待します。

〇社会民主党

迫害をのがれ、支援を必要とする難民を、温かく迎える社会をつくります。難民認定のあり方を見直すとともに、自立した生活を安心して送れるよう難民支援を強化します。

難民を温かく迎える社会をつくる旨が宣言されており、世論喚起や受け入れるための社会統合を視野に入れた内容です。難民認定の見直しにも触れていますが、欲を言えばその原因究明や具体的な解決の提案などにも言及して頂きたかったところです。また、自立した生活を安心して送れるように難民支援を強化することの対象に難民認定申請者を含んでいるのか明記はありませんが、ぜひ含んでいただけたらと期待します。

(2017年10月19日掲載)

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