本文へジャンプ

トップページ > 難民支援協会の活動 > 活動レポート > 政策提言  > スリランカへの一斉送還(2016年9月22日)に対する抗議声明

活動レポート : 政策提言

スリランカへの一斉送還(2016年9月22日)に対する抗議声明

法務省入国管理局は、2016年9月22日、スリランカ人30人をチャーター機で強制送還しました。チャーター機による一斉送還は、2013年 7月6日 (フィリピン人75人)、同年12月8日(タイ人46人)、2014年12月18日(スリランカ人26人、 ベトナム人6人)、2015年11月 25日(バ ングラデシュ人22人)に続く5回目に なります。本一斉送還は、非正規滞在者であっても保障されるべき適正手続を無視するものであり、私たちは、これに強く抗議します。

送還を忌避する外国人の強制送還について、私たちはこれまでにも様々な人権人道上の問題を指摘してきました。過去の4回のチャーター機による一斉送還では、送還後の被送還者に対する民間の支援団体や専門家による現地調査などからも、被送還者のなかに、日本にパートナーや配偶者や子など家族がいる人、20 年以上の長期にわたり日本に定着している人、難民申請したものの不認定・棄却された庇護申請者など、様々な事情を抱えて母国に帰ることができない人たちがいました。彼・彼女らは突然の強制送還後、生活の基盤もなく支援もないままに送還先に放置されている実態も明らかになりました。また、被送還者の選定基準の不透明さや送還プロセスにおける人権侵害についても問題を指摘してきました。しかしながら、日本政府はこうした私たちの問題指摘や抗議にも誠実に答えることなく、5回目の送還が強行されました。

法務省の発表によると、今回のスリランカへの一斉送還では、送還を忌避していた24歳から58歳までの男女30人が送還され、その中には日本での長期滞在者(最長者は滞在27年9ヶ月)も含まれているとのことです。

法務省はまた、今回送還された人の中に難民申請者は一人もいなかったとしています。しかしながら、今回送還された人の中には日本において庇護を 求めていた人も多くいます。「難民申請者がいない」というのは、送還前(多くは送還の直前)に難民不認定処分に対する異議申立てに対する棄却決定の告知を行うことにより、送還時点で難民認定申請手続中の人はいなかったというに過ぎません。2014年12月に実施されたスリランカへの一斉送還に関する前川清成参議院議員による質問主意書への政府答弁からは、送還された32人中29人に難民申請の経歴があり、そのうち26人が送還前日に異議却下通知を受けたという事実が明らかにされています。

そして、送還された人たちの中には、行政の行った難民不認定処分が正しかったかを裁判所で検証する機会を奪われたまま、送還された人が含まれています。 すなわち、難民の異議申立てに対する棄却決定に対しては、その告知から6ヶ月間、裁判所に訴え出ることができ、異議棄却決定の際、難民申請者に対してもそのように説明されます。それにもかかわらず、法務省入国管理局は、実際には、この6か月を待つことなく、棄却決定の告知からわずか24時間以内に 送還するなどして、被送還者から難民不認定処分取消訴訟を提起する機会を奪いました。これは憲法第32条で難民申請者にも保障される「裁判を受ける権利」 を剥奪するものであり、また、裁判所による最終判断が下されていないにもか かわらず、難民である者もしくは帰国すれば拷問等受ける可能性のある者を送還する点で、難民条約第33条及び拷問等禁止条約第3条の定める「ノンルフールマン原則」に反するものであり、憲法上、国際条約上到底許されるものではありません。
くわえて、遠く庇護を求めてきた人に対し、裁判への道を遮断し、行政の一存で判断の告知と同時に送還する行為は、自由や人権という価値を信奉し、立憲主義を採用する日本の地位を貶めるものであり、恥じるべきものであるといわざるを得ません。

また、日本人の配偶者、永住者の配偶者などの家族がいる人たちが、一斉送還 の直前に仮放免の更新が認められずに収容され、家族や代理人にも連絡がとれないまま送還されたとの情報が、被送還当事者やその家族から支援団体に直接寄せられており、送還のプロセスで抵抗しないよう手錠などが使われていたとの証言もあります。

私たちは、日本に暮らすすべての人びとの人権が等しく尊重される社会を求め、彼・彼女らの家族との結合や日本での定着性、保護の必要性などが十分に考慮され、合法化が検討されることを強く望みます。

私たちは、チャーター機等による、適正手続きを保証しない強制送還が行われていることに強く抗議するとともに、日本政府に対し、非正規滞在の外国人に対する施策を根本的に見直すよう求めます。さらに、航空会社においては人権を尊重し、人権侵害に加担しないという企業の社会的責任を果たすよう求めます。

2016年10月6日

特定非営利活動法人 移住者と連帯する全国ネットワーク
イエズス会社会司牧センター
カリタスジャパン
全国難民弁護団連絡会議
特定非営利活動法人 名古屋難民支援室
難民・移住労働者問題キリスト教連絡会
認定NPO法人 難民支援協会
特定非営利活動法人 難民自立支援ネットワーク
日本カトリック難民移住移動者委員会
RAFIQ(在日難民との共生ネットワーク)

(2016年10月6日掲載)

このエントリーをはてなブックマークに追加
 印刷