解説記事・声明等

日本政府による難民に関する国際会議での発表について

    安倍首相は、9月19日(月)の「難民・移民に関する国連サミット」(主催:国連総会)、翌20 日(火)の難民に関するリーダーズサミット」(主催:アメリカ合衆国政府他)にそれぞれ出席し、日本としての立場の表明を行いました。それについて、日本がより積極的に難民を受け入れる旨表明していただきたいと申し入れを行った立場より声明を発表いたします。
    まず、難民の自立支援や受け入れ国の開発支援として2800億円の拠出が発表されました。この内訳は明らかではなく、どの程度が円借款となるのか、無償資金協力なのか、またどの地域・国の難民・移民のどのような状況に対して、どのように拠出されるのか、今後明らかにしていただきたいと思います。とはいえ、現状全く足りていない、世界の難民・移民に対する貴重な資金的な貢献として原則高く評価できると考えます。
    次に、日本への難民受け入れに関していえば、新たな難民の受け入れについての言及はありませんでした。これは非常に残念なことです。世界的な難民危機において、各国でも積極的な貢献を行っています。例えば、アメリカ政府は来年の第三国定住について2015年よりも60%多い11万人の受け入れ枠を発表しました。日本政府は年間30人のままです。
    日本政府には、第三国定住を含むさまざまな手段(その中には、現状国内での難民保護事業を実施している市民社会等も議論に巻き込むことを含む)を検討して、「責任の分担」を果たすため、さらに難民を受け入れていく方向性をはっきり示すことを求めていきたいと思います。
    ただし、今年5月20日に発表された、シリア人留学生を5年間で150人受け入れることが改めて紹介され、加えて今回初めて留学生の家族が「従来の枠組みの中で」「温かく」迎え入れられることが初めて公に表明されました。従来の枠組みでは、核家族での受け入れになりますが、配偶者や子どもも受け入れられていくことになります。家族についても配偶者の日本語教育、子どもの教育等日本社会での包括的な統合支援が求められていくため、今後の進捗について期待を込めて見ていきたいと思います。
    難民支援協会は、引き続き、関係者とも協力し、民間も貢献する形での難民受け入れを目指すことにより、日本がより難民と向き合い、受け入れられることを目指したいと思います。

    認定NPO法人 難民支援協会