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活動レポート

JARの事業の根底にあるもの ー「支援」への取り組み方

1999 年の設立以来、難民支援協会は、支援を求める難民にとって重要な存在となっています。日本で難民が頼れる数少ない団体の一つとして、私たちはどのような「支援」を行うべきか、常に考えてきました。ここで、よりよい支援を行うために私たちが考えている、4つの視点をご紹介します。

Q. JAR の「支援」は、どのような考え方に基づいているのですか?

A.難民は、本来ある権利が損なわれながら、多くの場合その状況が見過ごされています。そのような人々を権利の視点から支えるのが、JAR の支援活動です。

難民は、人として、また難民として、基本的な権利を持っています - 自由と安全が確保され、送還されず、医食住等が保障され、家族が一緒に暮らせることなど。このような権利を認識し、それらを回復できるよう難民を支える、これが JAR の支援です。同じ難民の中でも、例えば女性や子どもなど、助けを求める声を上げづらい人々もいます。JAR は、一見ニーズが見えない場合でも、「権利」の視点からニーズを見つけ、支援できるよう留意しています。
また東日本大震災では、難民以外の人々を対象とした事業を初めて本格的に展開しましたが、避難所や仮設での女性支援など、いずれも上記の考え方に基づいています。見逃されがちな「権利」の視点を中心に支援を行ってきた JAR として、これからも脆弱性の高いさまざまな人々のニーズに応えるべく、災害対応をはじめとした分野でも貢献していきます。

※ 権利を基礎とする支援の考え方は「プロテクション」(権利保護)と呼ばれ、災害や戦争などの被災者への支援において、国際的に議論されてきました。支援団体は物理的な保護(基本的な自由と身体の安全の確保)、社会的な保護(衣食住や教育、健康等の保障)、および法的な保護(当局に登録がなされ、滞在が認められていること)の 3 つの保護の実現を目指すこと、加えて、受益者を傷つけていないか、公平に支援を提供できているか、など、支援活動そのものを批判的に検証することが求められます。

Q.JAR は、どのように「支援」を行っているのでしょうか?

A.自立を見据えて、一人ひとりの状況や状態に応じた支援を行っています。

難民は、様々なニーズを抱えて JAR に支援を求めてやってきます。自由と安全を確保するためには、難民認定に向けた支援は欠かせません。生活費や食糧の提供など、困窮する生活を支えることも重要です。一方で、直接的にニーズを満たすことだけが、JAR の支援ではありません。支え合いながらも、最終的には自力で生き抜けるようになることが必要です。そのため、一人ひとりにカウンセリングを行いながら、難民自身の力を引出しつつ、その人の状況や脆弱性に応じて、支援を提供しています。
なお、支援が必要な難民がすべて JAR に来訪できるわけではありません。来訪できない難民のために、JAR から難民が暮らしている地域に出向き、ニーズに耳を傾け対応しています。また、例えば高齢化に伴う将来への対策や、より安定した雇用確保など、必ずしも難民自身から明確にニーズとして提起されるわけではない課題もあります。こういった課題も各スタッフが支援活動の中で能動的に認識し、取り組んでいます。

Q.よりよい「支援」を行うためには、何に取り組んでいますか?

A.JARの事業の根底にあるもの  「支援」への取り組み方支援の質を担保するための仕組みを整えています。

直接支援においては常に、支援する者と支援を受ける者との関係が生まれます。JAR は、ソーシャルワークの考え方をもとに、搾取的な関係とならずに適切な支援を提供することを行動の基本としてきました。また近年では、「アカウンタビリティ」(説明責任)という考え方がNGO/NPOの間で普及してきました。これは、資金提供者だけでなく、受益者も重要なステークホルダー(関係者)としてとらえることを重視するものです。JAR でもこの考え方を導入し、支援団体として適切な支援を提供し、関係者への説明責任を果たすための仕組み作りに取り組んでいます。
このような背景から、JAR では支援対象者との関係についての行動規範を定め、スタッフ・インターンに遵守を求めています。また、支援対象者や関係者からの苦情や意見に対応する、クレーム対応メカニズムを導入しました。さらにケース・カンファレンスを定期的に実施し個別の支援をレビューするとともに、事業計画立案・評価や、人材採用と育成のプロセスを、継続的に見直しています。

※ これらの取り組みを進めるため、JAR は 2013 年に、アカウンタビリティについての国際的なグループである HAP Internationalに日本の団体として初めて加入しました。

Q.「支援」の力をより大きくするために、何に取り組んでいますか?

A.様々な団体や地域社会と協力しながら、支援をすすめています。

私たちだけで、日本の難民をすべて支えることはできません。難民の暮らす地域の関係者との連携は不可欠です。難民は地域住民や就労先企業、学校、医療機関等と様々な関係の中で生活しています。そのため、時には衝突も起こりますが、よりよい関係を模索している関係者も多くいます。JAR は難民が安心して生活できる状況を作り上げるよう、関係者がそれぞれできることを提供すべく、連携を進めています。
例えば、難民の就労のためには JAR や雇用主だけでなく、難民が暮らす地域社会や自治体も重要な関係者となります。そのため、自治体職員や商工会議所、地域企業、自治会役員などと話し合いを持ち、協力関係を作っています。

― そして、「支援」を越えて ―

難民のように、支援ニーズが見逃されがちな人々を支援することは、これからも JAR の事業の柱であり続けます。
しかし同時に、「支援対象者」は支援されるだけの人々ではないことを、私たちは強く感じ、事業にも反映してきています。2011 年に陸前高田市で実施したボランティア派遣事業においては、難民はむしろ JAR に事業実施を決断させ、現場でチームを引っ張ったリーダーでした。コミュニティ支援事業の災害対応ワークショップでは、難民が自らの身を守れるだけでなく、地域の人々を支援する立場になることも想定しています。難民は就労した企業において、難民である以前に人材として活躍することが期待されています。
支援を必要とする人はしっかりと支えられ、一方でそれぞれの持つ強みを活かして社会の一員となる、そのような未来を作ることを目指し、JAR は今後も事業を展開していきます。

(2017年3月1日掲載)

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