活動レポート

[冬の寄付:ご報告]なんとか春を迎えられそうです

    bloomberg.jpg難民支援協会(JAR)では、日本に逃れてきた難民が無事に冬を越せるよう、越冬支援を行いました。東京・四谷にある事務所には、これまで以上に多くの難民が相談に訪れ、その数は1日20人以上にのぼることもありました。緊迫した日々が続きましたが、なんとか春を迎えられそうで、束の間ほっとしています。ウェブサイト、FacebookTwitterメールマガジンハフィントンポスト等での呼びかけを通じて、個人・企業・団体の皆さまから、647件・9,955,305円のご寄付をいただきました。ご寄付は主に、来日直後、持ち金が尽き、政府の支援でもカバーされない難民の方々の命をつなぐ緊急支援に活用させていただきました。今年も支えてくださった皆さま一人ひとりに心より感謝いたします。

    難民への支援実績(2015年12月1日~2016年2月28日)
    • 事務所や収容所での相談件数 909件
    • 電話での相談件数 626件
    • シェルター提供人数 55人

    1ヶ月に渡る路上生活に耐えて

    suitcases_250.jpg泊まる場所のない難民に対して、例年より多くシェルター(一時宿泊施設)を提供できましたが、それでも常にシェルターは満室で、路上生活に長期間耐えた方もいらっしゃいました。約1ヶ月に渡って待っていたある方は、毎晩、都内のモスクに出向いて、横にならせてもらえる日はモスクの床で眠り、入れない日には一晩中歩いて過ごしていました。JARにも毎日のように顔を出す彼に、シェルターがまだ満室であることを詫びると、こんな言葉をもらいました。

    「もちろんシェルターに入れたら嬉しいけれど、ここにくるのはそのためではないんです。寒い中、一晩中歩いて夜を過ごしていると、暗い気持ちになって、人格まで変わっていくような気がします。でも、JARでスタッフから大丈夫?と声をかけてもらったり、待合スペースで同じような状況にいる人と雑談して笑ったりすると、自分を取り戻せます。人はときどき笑わないと生きていけない。だから、JARにはいつも感謝しています」

    2月末にようやく案内できたシェルターは、決してきれいとはいえない古くて狭い部屋です。でも、彼は「屋根があるだけでどんなに嬉しいか。本当にありがとう」と英語、フランス語、日本語で御礼を言ってくれました。
    彼をはじめ、母国での人権侵害や紛争から逃れて、この冬に日本にたどり着いた難民に医(衣)・食・住を提供し、命をつなぐ活動ができたのは、ひとえに皆さまのご支援があったからです。
    日本に逃れたばかりで緊急支援を必要とする人は、冬だけでなく今日も新たにJARへたどり着いています。JARはそうした状況にある方々を、四季を問わず支え、自立に向けた支援、そして、日本の難民保護制度を改善していくことにも積極的に取り組んでいきます。引き続き、あたたかいご支援をどうぞよろしくお願いいたします。