首都圏外の困窮難民への支援拡大へ-首都圏外の困窮難民への支援拡大へ

現在、難民支援協会(JAR)の主な支援地域は首都圏ですが、他団体との協力関係により、首都圏以外での難民への適切な生活・法的支援の拡充を図ることにより、首都圏外で貧困に陥っている脆弱な難民の生活の安定を図ることが求められています。そのため、東海地域については、特定非営利活動法人 名古屋難民支援室(DAN)に業務を委託しました。

東海地域の難民の状況

相談者の申請番号から把握している2013年の名古屋入国管理局での申請者数は、12月初旬時点で480人を超えており、過去最多数を更新することが予想されています。一方、名古屋入国管理局における難民一次手続きで難民認定された者の数は、2012年は0名、2013年1月〜8月は1人でした。
こうした難民認定申請数の増加および難民認定数の少なさにより、異議申立数も増加していますが、2013年は、8月までの処分数が39人(認定0人、棄却39人)で、2012年の処分数69人(認定1人、棄却68人)と同程度になる見込みです。
手続きが長期化することで、難民認定申請者は、精神的にも法的にも不安定な状態が続いていています。

実施内容

庇護希望者・難民認定申請者一人ひとりへの支援

2013年6月4日から2014年2月17現在、新規で30名の庇護希望者からの相談がありました。新規の相談があった際には、時間をかけて面談を行い、基礎情報と母国に帰国できない理由、困っていることなどを聴き取ります。相談内容は、難民認定手続きに関する法的な内容のみでなく、出産、転居、育児、治療、日本語教育や人との繋がりを求めたボランティア活動の紹介など、多岐にわたりました。

法的な支援としては、初回の面談後、相談者本人の出身国の状態や、他国での認定事例などの調査を行いました。また、個別事情を裏付ける証拠を入手する方法がないか、本人と面談を重ねるなど、難民であることを立証するための支援を行い、専門的な支援が必要な申請者については、弁護士に相談をしました。

また、JARや東海地域で外国人の生活支援を行っている支援者・団体のアドバイスを受けながら、出産に関する公的な支援制度の調査や、転居先との連絡、託児所の見学や病院への同行、治療のための援助金の模索、難民が安心して日本語を学べる場所の紹介・同行、難民申請者と共にボランティア活動を実施するなど、生活面での支援を行いました。

講演会の開催

難民の出身国情報、難民の法的支援、東海地域の他団体の難民支援活動などについて、合計6回(12時間)の講演会を実施しました。支援者や弁護士、行政書士、学者や司法修習生など、各回、合計10人から20人ほどが集まり、講演に耳を傾けました。講演後には、それぞれの参加者各自が関わっているケースや経験に基づいて質問をするなど、活発な議論が交わされました。

首都圏における研修

DANのコーディネーターがケースカンファレンスに参加し、職員や弁護士のアドバイスを受け、より効果的な出身国情報調査を行ったり、追加聴き取りを行ったりすることができました。また、首都圏で行われた研修会に参加することで、難民保護の知識を深めることができました。

取り組みの成果

JARでのケースカンファレンスへの参加や研修、東海地域の古くからの支援者や専門家などからアドバイスを積極的に受けることにより、難民への適切な生活・法的支援の拡充ができました。残念ながら、この9か月の間では、相談者の難民認定や在留資格の安定化といった結果には、残念ながらいたらなかったものの、証拠の収集やその翻訳を支援した難民申請者が追加のインタビューを行う機会を与えられたケースもありました。また、就労も認められず、日本での知り合いも少ないため、社会との接点を失っていた申請者が、共にボランティア活動を行うことで、地域社会の人々と交流でき、笑顔を取り戻した様子を見ることもできました。

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