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活動レポート

医療同行ボランティア活動-難民が安心して医療機関を受診できるように

難民支援協会(JAR)を訪れる在日難民の中には、医療ニーズを抱えた人も数多く訪れます。医療に関してよく受ける相談内容としては、「どの病院に行けばいいのかわからない」、「医師や看護師とコミュニケーションが取れない」といったものから、「医療費を支払うことができないので難しい」というものまで多岐にわたっています。特に在留資格がないため保険を持っていない、もしくは、政府から医療費の支援を受けられず経済的に困窮している難民にとって、100%もしくはそれ以上の自己負担を求められる医療機関を受診することが大変難しいことは想像にかたくありません。

そこでJARでは、2009年から東京都社会福祉協議会医療部会のご協力のもと、東京都内の病院が実施している「無料低額診療事業」を活用し、生活困窮した難民も無料もしくは低額で病院を受診することができるようサポートを行っています。また最近では東京都外に住む申請者からの相談も増えており、受け入れ病院のネットワークは千葉県や神奈川県、栃木県へも広がっています。

増加する医療ニーズ

hospital_edit.jpgJARの生活支援チームは、難民からの要望に対応し、積極的に医療機関への同行を実施してきました。2013年6月4日〜2014年1月末までに実施した病院同行数は159回にのぼります。2012年の95回と比較しても、医療支援の必要性は年々増してきていることがわかります。

また本年度は、日本で妊娠、出産を経験した女性難民が4名いました。それに伴い、妊娠期間中の妊産婦検診、出産後の母子健診などに同行する機会も増加しています。例えば、来日まもなく妊娠がわかったアフリカ地域出身の女性は、地域で孤立しやすい上に、シングルマザーとして妊娠・出産を乗り越えなければならず、大変な不安を抱えることになってしまいます。

このようなケースに限らず、医療同行者の存在は大変重要です。多くの難民が日本語を話すことができないため、通訳として難民に代わってどんなことで苦しんでいるのか、どんなことを相談したいのかを医師や看護師に適切に説明する役割を担います。受け入れる病院側も、JARからの同行者の存在することで、もし何かあればその場で速やかに相談することができるという安心感を持つことができるようです。本来であれば、JARの生活支援チームの職員が同行するのが望ましいですが、医療を必要としている難民の数に対して、職員の数は不足しているのが現状です。病院との受診の調整は済んでいるにも関わらず、派遣できる者が確保できないため、難民に受診を待ってもらうということもしばしば起こっています。

重要な役割を果たす医療ボランティア

このような事態が改善するよう活躍していただいているのが、医療同行ボランティアの皆さんです。JARのウェブサイトなどを通じて応募いただいた皆さんに、JARにて面接を実施。ソーシャルワーカーから活動の内容や流れ、注意点、難民を支援する上での心構えなど、ボランティア業務について説明しています。その後、実際に同行ボランティアとして初めて医療機関へ同行していただく際には、受診が必要な難民や受け入れ病院をよく知るJAR職員が一緒に同行します。そして、次回以降、一人で同行していただけるよう、現地でも業務の説明を行っています。

病院を一緒に受診するということは、時に半日以上難民と一緒に時間を過ごすこともあります。大変な立場にいる難民にとって言葉の通じる同行者の存在は、時に難民が日々抱えている不安や問題を投げかけられる相手となることもあります。難民と直に接するうちに、個人では解決できないもどかしさや、様々な懸念が生まれることもあるようです。そのため、一人で同行をしていただけるようになった後も、できるだけボランティアさんと職員の振り返りの時間を持てるよう心がけています。そうすることでJAR職員が一緒に同行しなくても、同行時の難民の様子を知ることができ、なによりボランティアさんの抱える疑問や不安などを共有することで「支援疲れ」を防ぐことができると考えています。

フランス語医療同行ボランティアとしてご協力いただいた方に、感想を寄せていただいたので、以下に紹介します。

病院同行ボランティアとして活動してみて(Sさん)

「ボランティアといっても、本人と医療者の間に立って、意思疎通がスムーズにいくよう通訳しないといけないので、医療専門用語が多いと、本人がわかるように説明するのは大変です。様々な医療者がいて、本人の個人情報をどんどん聞いてくる人もいます。そんな時は、いったい自分はどこまで通訳するのか疑問に感じることもあります。医療者と本人との間の仲介が難しい場合もあり、本人の望んでいることを伝えることがとても困難だと感じたこともありました。しかし、だからこそ、難民が持っている雰囲気や苦しみを一番近くに感じ、医師や看護師に伝えることができるのは医療同行ボランティアの大切な役割だと感じました。」

独立行政法人福祉医療機構 社会福祉振興助成事業

(2014年3月31日掲載)

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