アリさんの話を聞いてください

年末年始はスタッフが緊急携帯電話を持って過ごしました。幸い大きな事態はなく、無事に年を越せたことにホッとしています。しかし、JARの事務所では年が明けても変わらず冬の緊急支援が続いています。今週だけでも「寝る場所も所持金もない」と新たに何名もの方が事務所にたどり着いています。

昨年末に冬の緊急支援のお願いをさせていただき、すでに多くの方からご寄付をいただきました。皆さまのお気持ちに心から感謝いたします。この冬を無事に乗り越えるためには、未だ多くのご寄付が必要です。引き続き、ご協力をどうぞよろしくお願いいたします。

厳しい冬を過ごす難民への緊急支援は、こちらから

はにかんだ笑顔が印象的だったアリさん(仮名)を紹介させてください。
(※以下のお話は、年末に支援者の皆さまにお送りさせていただいたものですが、大変多くの反響を頂いたため、この度ウェブサイトにも掲載させていただきます)

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アリさんはこの冬に来日し、11月中旬に初めて事務所に見えました。すでに所持金はわずかで、寝るところ、頼る先もありませんでした。運悪く、シェルターはちょうど満員になったところで、しばらく空きがでそうにありません。心苦しくも、すぐにはご案内できないことをお伝えし、サバイバル生活が始まりました。

毎朝、スタッフが事務所に着くと、アリさんが入口で寝て待っています。夜中は身体を温めるために歩き回り、早朝5時頃には事務所前で待っているとのこと。寡黙なアリさんですが、1週間ほどたち、思いつめた表情で、こう聞きました。

「シャワーを貸してくれませんか」

残念ながら、事務所にシャワーがないことをお伝えしたときの落胆した顔は今でも忘れられません。

それから約3週間、アリさんはJARで食事はとれるものの、家もシャワーもない生活を余儀なくされました。私たちに怒りをぶつけてもおかしくない状況でしたが、根気強く、ホームレス生活を続けました。

ようやくシェルターにご案内できることになったときは、ぽろぽろと涙を流しながら、
「今日はシャワーを浴びて、ベッドの上で寝られるんだ...」
とつぶやいておられました。その後、シェルターに送り届けると、別れ際に「もう僕の顔を毎日見られなくなって寂しくなるね」とはにかんだ笑顔でおっしゃった姿がとても印象的でした。アリさんはそれまで一度も笑顔を見せたことがありませんでした。それほどサバイバル生活が苦しかったのだと思います。

日本には人権があると思って逃れてきた方、色々な偶然が重なり、日本にたどり着いた方、それぞれ事情は異なりますが、到着したばかりの、右も左も分からない国で、この寒空の下、食べるものも寝る場所もない生活を続ける苦労は想像を絶します。

すべての人をすぐにシェルターにつなげられない悔しさを感じながらも、最後の砦のように私たちを頼ってきてくださる方々が、少しでもあたたかい冬を送れるよう、支えていきたいと思います。
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日本での初めて冬を、家族も、頼る人もなく過ごす難民がいます。
厳しい寒さに耐え、孤独に年を過ごす難民を支えるために、
引き続き、ご寄付をお願いいたします。

緊急支援はこちら

また、1月20日(月)に事務所で開催するRefugee Talkでは、生活支援担当スタッフが緊急支援についてお話します。今年の冬の状況もご報告しますので、ご関心のある方はぜひお越しください。

イベント詳細はこちら

(写真1:頼る先がなく事務所にたどり着く難民の方にお渡ししているサバイバルマニュアルと物資)
(写真2:電話相談を受けるスタッフ)