活動レポート

2009年6月-[キャンペーン] 遠方での支援活動報告

    2009年6月30日

    難民支援協会には、東京およびその近郊のみならず遠方からも、支援を求める難民の方から相談が寄せられます。保護費が打ち切られただけでなく、不況の影響で、地方では、一層就労が難しくなっています。また、支え合う同国人の仲間やコミュニティがない、支援団体が少ないなどさまざまな点で、より困難な状況に置かれている様子が見られます。住まいを確保するためのお金がない、保証人等になってくれる知り合いがいない、移動のための交通費がないなどのため、東京などに出てくることもかないません。
    そのため、難民支援協会では支援のためにそれぞれの地域を訪ねることもあります。名古屋と館林での支援活動の様子を報告します。
    <名古屋>
    難民支援協会は、5月16・17日愛知県名古屋市を訪れ、保護費を打ち切られてしまった9人の難民の方に対して、聞き取り調査および生活費の支援を行いました。ビルマ(ミャンマー)出身のある男性は、08年5月のサイクロン発生後、食糧支援などの活動と状況を海外に伝えようとした活動を行ったことを理由にした迫害から逃れるため、日本で難民申請を行いました。パスポートがなく収容されましたが、1月から仮放免となり、保護費の支給を受けて何とか生活を行ってきました。しかし、4月から始まった政府の新方針で、仮放免中の人が支給の優先順位から漏れることとなってしまったため、支給は打ち切りとなりました。今回の聞き取り調査は、名古屋のNGO「共の会」との協力の下で実施しましたが、東京に比べて支援団体も少なく、不況の影響で仕事を見つけるもの困難です。今回のような民間団体からのサポートなしには、生活の見通しはありません。
    <館林>
    6月8日、17日、難民支援協会は、群馬県館林市を訪れ、ビルマ(ミャンマー)の少数民族・ロヒンギャの難民への相談・生活緊急支援を行いました。館林には、約200人のロヒンギャ民族の人々が暮らし、コミュニティを形成していますが、昨年末からの不況のためいわゆる「派遣切り」にあい、失業した人が数多くを占めるようになりました。そのため、コミュニティ内で支え合うことが難しくなり、支援の必要性が高まったのです。
    2回の相談会では、のべ48人が訪れ、緊急支援が必要な32人に対し生活費として3万円を支給しましたほか、難民認定を受けている人などには生活保護につなげる等による支援を行いました。また、米160キロ、食用油10本、卵、たまねぎ、スープなどの食糧、石鹸など日用品も世帯ごとに支援をしたほか、聞き取りなどを行いました。
    集まった全員が現在失業中で、一番長い人で8ヶ月間も収入を得る手段を失っており、半年以上失業中だった方は約半数を占めていました。「仕事がないために大家さんが家賃を下げてくれた」などという声が聞こえる一方、「家賃が払えなくなったために現在ホームレス状態だ。モスクにて寝起きをしている」「3-4人で一緒に暮らすようにしている。」という方もいました。
    また、平屋建ての一軒家が8軒ほどならび、24人が集住している場所を訪れ、そのうちの2軒に家庭訪問をしました。共同で食事を取っている様子が伺えたほか、家の軒先でトマトやとうがらし、なす、ゴーヤなどを栽培し、少しでも食費を減らせるよう工夫している様子が分かりました。
    これから少なくとも数ヵ月間は失業状態が続く可能性があるため、継続した支援をどう行えるかは大きな課題ですが、就労支援なども含めコミュニティのリーダーとともに相談をしながら、支えていけるよう努力していきたいと思います。
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    写真上:食べ物などの支給の様子
    写真下:今回支給したお米など
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    いずれも、訪問時だけでなくその後も継続的に生活費を支援しています。しかし、同時に、四谷にある事務所にもひっきりなしに相談が寄せられているなか、頻繁に出張相談を行うことは難しく、また、金銭的にも厳しい状況です。
    各地域で支えあうことは、効率性のみならず、定住・社会適応などの観点でも非常に重要なことです。皆さんのお近くにもこういった助けを求める難民がいるかもしれません。「お隣さん」どおしで交流し、助け合うことができるよう、ぜひあたたかいご理解とご関心をお願いいたします。
    また、ご寄付のほか、お米、洗剤など生活必需品は、こういった難民を支えるために欠かすことができません。ご支援をいただける場合はぜひこちらから詳細をご覧下さい。
    なお、この支援活動の様子がメディアにて取り上げられています。詳しくはこちらから。