豊かな市民社会を/神奈川新聞

2012年5月19日付の神奈川新聞「かながわ時流自流 この人が語る」で、難民支援協会(JAR)常任理事の石井宏明へのインタビュー記事が掲載されました。

*記事は一定期間こちらからご覧いただけます(カナコロ)。

(概要)
難民と向き合ってきた17年

現在、難民支援協会の常任理事である石井は、民間企業勤務を経て、28歳で米国留学。帰国後、国際NGOに就職し、難民問題に取り組む。政府の難民対策連絡調整会議の有識者メンバー、一橋大学大学院非常勤講師も務める。

東日本大震災の被災地を訪れること、約40回。
「最も脆弱な人々が支援からこぼれおちないように。視点は被災地でも変わらない」

難民と向き合うこと17年。その支援で培った知識、経験、人脈、そして現場感覚を生かす。

震災を経て、難民自身が証明したこと

震災は、自身の活動を見つめ直す機会となった。母国に帰れず、余震と原発事故に不安を募らせる難民からの電話に応じる中、「被災地の役に立ちたい」。家族や故郷と引き離された自らの体験に、被災者の痛みを重ね合わせる難民の声があった。

その後、JARは、難民のボランティア派遣事業を立ち上げ、日本人含め、のべ2,857人(2011年4月〜11月末)が参加した。

「難民は単に保護すべき存在ではなく、ましては負担ではない。日本社会に貢献する貴重な人財だと彼ら自身が証明した」と石井は言う。

豊かな市民社会が実現する出発点

被災地には、スタッフ4人が常駐する。規定の時期が来たからと、支援から手を引く「出口戦略」。これまで幾度も使ってきた言葉に強い違和感を持つようになった。「人が立ち直り、新たに踏み出すまでの時間には、ものすごい個人差がある」

草の根、特に当事者の声をいかに政策に反映させるか。難民支援での課題はそのまま被災地にも当てはまる。「復興には、政策の立案から具体的な事業の実施まで、被災者が政府や自治体と対等な立場で協働することが欠かせない」

目の前の支援に力を尽くすと同時に、一歩先を見据える。
行政主導の既存システムを変え、豊かな市民社会を作りたい。その萌芽が、被災地にしっかり根を張るその日を思い描く。

「大切なのは被災地の人々が復興の主役を担うこと。脇役として、応援団として、寄り添う存在であり続ける」と思いを語る。