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メディア掲載 : 新聞記事

2010年3月21日-朝日新聞「私の視点」に、事務局長代行・石井のコメントが掲載されました

3月21日付けの、朝日新聞「私の視点」欄に、難民支援協会(JAR)事務局長代行・石井宏明による、日本の難民受入に関する意見が掲載されました。

「『第三国定住』試行を生かせ」と題し、今年より日本で始まる「第三国定住」を踏まえ、日本の難民保護全体がより良いものとなるよう、3つの提言をしました。

内容は以下です。
(朝日新聞より許可をいただき、全文掲載しております)

「第三国定住」試行を生かせ


NPO法人難民支援協会事務局長代行 石井宏明


 日本に難民認定申請をした人は昨年、1,388人にのぼった。難民条約に基づいて認定された難民は30人にとどまったが、人道的配慮により在留資格を得た人は過去最多の501人となった。日本を頼って逃れてくる難民は、今後も増えることが予想される。

 さらに今年は、難民条約の手続きとは別に、新たに設けられた「第三国定住」受け入れの第1号として、約30人のミャンマー(ビルマ)難民がタイの難民キャンプからやってくる。3年間のパイロットケース(試行)との位置づけだが、日本の難民保護への積極的姿勢として国際社会の期待も高い。この第一歩をよりよいものとし、日本の難民保護全体を前進させるため、以下の提言をしたい。

 第一に、難民政策をめぐる議論をオープンにしてほしい。2008年12月に閣議了解で決まった第三国定住難民の受け入れは、その前後の決定過程が、すべて政府内の議論に終始している。そこに、当事者である難民や支援団体など関係者の切実な声が反映されていない状況である。

 第二に、第三国定住が「試行」であるならば、その「成功」の指標を明らかにするべきである。最終的に何を目指し、どのような状態になることが、やってくる難民と日本社会の双方にとって成功と言えるのか、明確になっていない。そこをあいまいにしたままでは、今後の難民受け入れの改善につなげることはできないだろう。

 第三に、自力で日本にたどり着いて申請をした難民と、第三国定住難民との公的支援の格差をなくすべきだ。第三国定住難民は、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が保護の必要な難民と認めた中から日本政府が選抜をした人たちだ。条約上の難民としての認定はしないというが、その一方で、来日直後から半年にわたり、医療、就労、住居、語学支援など、多くの公的な支援がある。

 それに対し、自力で来た難民への扱いの差はあまりに大きい。人道配慮の場合、公的な定住支援はゼロだ。また、平均2年以上にわたる難民申請中はほぼ国民健康保険に加入できず、多くが就労を認められない。昨年は、100人以上の難民申請者に対する公的生活支援金(保護費)が一時打ち切られるという事態も起こった。住む場所も、子どものミルクさえもない困窮ぶりだった。さらに、未成年も含む難民申請者の収容が増加しており、申請者の間で動揺が広がっている。大多数の難民への対応を現状で放置したままで、一部の難民のみを優遇しても、国際社会の期待に応えているとはいえない。

 今年こそ、開かれた論議を通じて、難民受け入れ制度を抜本的に見直すべきだ。

(2010年3月21日掲載)

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