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「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律の施行に伴う 関係政令の整備に関する政令案概要等」に対するパブリックコメントの提出

認定NPO法人 難民支援協会は、入管難民法および法務省設置法の改正に伴う関係政令の整備に関するパブリックコメントの募集に対して、以下の意見を提出しました。
パブリックコメントは、国の行政機関が政令や省令等を定めようとする際に、広く一般から意見を募り、その意見を考慮することにより、行政運営の公正さの確保と透明性の向上を図ることを目的としています。下記を含めた民間からの意見が適切に反映された政省令等になることを切に希望します。

■本パブリックコメント募集の概要
「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令案概要等に係る意見公募手続の実施について」
平成30年(2018年)12月28日 法務省


2019年1月25日

法務省入国管理局参事官室御中

「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令案概要等」に対するパブリックコメントの提出

認定NPO法人 難民支援協会
〒101-0065 東京都千代田区西神田2-5-2 TASビル4階
電話:03-5379-6001 ファックス:03-5215-6007

認定NPO法人 難民支援協会は、出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律(以下、入管法等改正)の施行に伴い、関係政令の整備等に関する意見募集(パブリックコメント)に対し、以下の意見を申し述べる。

1.総論

外国人受入れをより一層推進するにあたり、基盤となる要素として以下4点が検討されるべきである。

(1)法整備の必要性について
  • 外国人基本法・差別禁止法が必要
    • 入管法等改正においては、外国人受入れの理念・外国人一人ひとりの人権が守られるべきという根本的な原則や、受入れにあたっての基本的な方針や目標の設定が存在していない。また、共生のための予算確保を確実にするためにも、外国人基本法を定めることが必要である。
    • 入管法等改正の際、参議院法務委員会において、以下の付帯決議が採択された。「我が国に適法に在留する外国人労働者の権利利益が十分に保障される及び外国人が不当な差別を受けることなく我が国社会で共生していくことの重要性に鑑み、関係機関の連携の下、法令違反、不正行為に対する厳格な対応を行うとともに、ワンストップ型の相談窓口を設けるなどして、外国人労働者が相談しやすい仕組みの構築を検討すること」。不当な差別を受けないことの重要性が確認されており、その理念を踏まえて、差別煽動や不当な差別的取扱いを厳しく規制する包括的な差別禁止法が制定されるべきである。
  • 行政手続法、行政不服審査法の適用除外の解消
    • 出入国管理・難民認定に関する業務は行政手続法の適用除外となり、出入国管理に関する業務は行政不服審査法の適用除外となっている。今後より多くの外国人が出入国管理、難民認定に関する手続きを行うにあたり、彼・彼女らに対しても適正手続きを保障するため、また、より透明性ある手続きとするためにも適用除外を解消することが必要である。
(2)実効性確保のための組織や仕組みについて
  • 出入国在留管理庁
    • 外国人受入れは多岐に渡る政策分野であり、横断的・総合的に進めるための専門的な省庁(共生庁(仮))の設立が本来であれば望ましい。専門的な省庁の設立は、支援の専門家を広域かつ長期に育成し、経験を蓄積していくことを可能にする。それがなければ、外国人受入れ施策の実効性は期待できないと考える。
    • 出入国管理を適正に行うことと、在留、つまり「暮らし」を支援することは全く別のことである。個々の独立性を確保し、過度に出入国管理に重きが置かれないようにすべきである。また、在留を管理・監視するのではなく、あくまで「共生」、市民としてともに暮らすという視点に立った施策が必要である。
    • 「暮らしの支援」について、従来入国管理局では十分なされてきていないことに鑑み、専門的な人材・予算の確保、自治体との連携を進めること等により、適切な実施が行われるよう制度設計が図られるべきである。また、各地方においても、各都道府県が主導し、各自治体の状況に合わせた十分かつ柔軟な予算措置がなされ、専門的な人材確保や自治体間の連携、各種サービスの実施等が実効性をもって行われるよう仕組みづくりが進められるべきである。特に、特定技能1号の外国人に対する支援にあたっては、受入れ企業が果たす役割が大きいため、企業の外国人受入れを担当する人材育成に係る予算も十分に確保されるべきである。
    • 実務上においても、現場で共生に関わる多様な関係者(外国人自身、自治体、医 療機関、教育機関、支援団体、法曹関係者、業界団体等)が意見交換を行い、改善が図られたり、意見が施策・計画に反映される等関与できる仕組みがつくられるべきである。その点において、すでに取り組みが実施されている自治体などの事例もあるので、参考にされたい。
(3)社会統合について
  • 総合的対応策との関連
    • 社会統合とは、出自の文化や出身国言語を捨てることを強制されず、それらを維持したまま、受入れ社会に受入れられ、組み込まれていくことである。指標としては①基本権の確立(人権、働く環境の平等・最低限の水準、法の保護や家族統合等)や、②福祉や公共サービス等へのアクセス、③社会的自立や格差の縮小、④社会参加の促進および受入れ社会とのコミュニケーションやつながりの構築、 孤立(セグリゲーション)の防止、⑤受入れ社会での自分の居場所(アイデンティティ)の確保などが含まれる(久保山亮(立教大学)による定義)。
    • 「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」(以下、総合的対応策)がこれに当たるものであるが、上記概念を含めたものにはなっておらず、今後上記の観点が組み込まれ、目標達成を図る指標とともに発表されていることが望ましい。
    • 来日する外国人に自身が利用可能なサービスとその利用方法が分かるように提示する仕組みが検討されるべきである。特に特定技能2号の場合は支援計画が策定されず、その帯同家族も含めて日本で生活するうえで様々な困難に直面することが予想される。そのため、地域において利用者を取り残さない工夫が必要とな る。
  • 各省庁の役割について
    • 2018年6月15日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2018」では、外国人の受入れ環境の整備について、法務省が「司令塔的役割」を果たすべきことが示され、また総合的対策案の素案(同年12月17日)においては法務省の役割を「司令塔的役割」として書かれていた。しかし、同年12月25日の最終文書においては、「総合調整機能」へと文言が変更されている。これにより、司令塔的役割を果たす省庁はなくなり、本来責任を果たすべきであった法務省の役割、責任と権限があいまいになったようにも読める。日本政府の社会統合政策は、内閣府、総務省、厚生労働省、国土交通省、文部科学省、文化庁などの府省庁がそれぞれ所管の行政分野の中で担ってきており、結果的に、政府としての取り組みの一体性に欠け、政策の方向性が示されない状態が続いてきたとの専門家の指摘がある(山脇啓造・「『司令塔』「多文化共生2.0の時代」第15 回)」)。総合的対応策の実行において、主に責任を負うのがどこなのかを明確にし、加えて施策の実行状況の確認や見直しを行うための具体的な体制も必ず明記すべきである。
    • 法務省が引き続き「司令塔的役割」「総合調整機能」を果たす場合は、その言葉が意味するところを明確に定義するべきである。
    • 上記の通り社会統合が包含するべき事項は多岐にわたり、外国人が日本社会の一 員として暮らすことができるようにするための大変重要な取り組みである。この分野において予算や人員の確保が十分に行われなければならない。また、このような多分野横断的な政策の実行にあたっては、上述した共生庁(仮)の設置がやはり望ましい。
(4)法案の見直しについて
  • 見直し規定
    • 「入管法及び法務省設置法の一部を改正する法律」附則18条2項では、2年後に制度の在り方について関係者の意見を踏まえた上で検討を加えるとされている。しかし、その「関係者」の中には当事者である外国人や支援者が含まれていない。しかし、2018年12月6日の参議院法務委員会で、大臣は「当事者である外国人の方から御意見を聞くことを排除する趣旨では全くない」と述べており、参加に途を開いているといえる。この発言にのっとり、外国人や支援者が制度の在り方について検討する場に関わる機会が保障されることが必要である。
  • 施策の評価指標の策定と公表
    • 施策目標を実現・達成するためには、具体的な達成度合いやプロセスを客観的かつ公平に図り、改善策を策定・実施していく必要がある。共通の指標が用いられることで、目指すべきゴールへの各関係者の意思統一も図られる。そのため、入管法等改正に基づき、また総合的対応策に基づき実施される個々の施策において、KPI(key performance indicator:主要行政指標評価)のような指標を設置して公表し、定期的に進捗を国会へ報告するべきである。

2.各論

個別の政省令案に対し、以下意見を述べる。

(1)出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令案【仮称】について
  • 難民認定をする主体の決定と公表、独立性の確保の必要性
  • 「第2 3 その他 出入国在留管理庁の設置に伴い、必要に応じ、『法務大臣』を『出 入国在留管理庁長官』に改める等の所要の規定の整備を行う」について
    • 改正された法務省設置法第29条によると、出入国在留管理庁の事務には「難民の認定に関すること」が含まれる。難民の認定(入管法61条の2)と、審査請求(入管法61条の2の9)は出入国在留管理長官への委任(改正後の入管法69条の二)も、また地方出入国在留管理局長への再委任(同条第二項)も可能であり、現状では誰が難民認定権者となるのか、明らかではない。難民の認定に関する権限委任のあり方や審査の体制が関係者の意見を踏まえて検討され、議論の経緯も含めて公開されることを求める。また、入管法61条の2に基づく難民の認定と、入管法61条の2の9に基づく審査請求は、行政不服審査法の趣旨に基づいて異なる機関によって行われるべきであり、かかる決定者を独立させるべきである。
(2)特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令案【仮称】に ついて
  • 行動規範、倫理要綱に関する定めの必要性
  • 「第2 2 特定技能雇用契約の相手方となる本邦の公私の機関が満たすべき基準」について
    • 省令案「第2 2 公私の機関が満たすべき基準(2)エ」には、「支援責任者及び支援担当者は、外国人を監督する立場にない者その他の一号特定技能外国人支援計画の中立な実施を行うことができる立場の者」とされている。支援責任者及び支援担当者が人権侵害を止め、救済する役割を確実に果たせるよう、「支援」の点から抑えるべき規範を示した文書を作成し、実施状況を公表するべきである。定めるべき行動規範には、支援責任者及び支援担当者が受入れ外国人(やその家族)のために働き、彼・彼女らの利益を最優先すること、守秘義務を順守することなどを含むものとする。すでに様々な検証・議論を経て、支援に携わる個人・団体が遵守すべき行動規範として取り入れられているものもあるので、参考にされたい。
  • 外国人の法的保護を充実させる必要性
  • 「第2 2 (2) 法第2条の5第3項の法務省令で定める基準のうち適合一号特定技能外国人支援計画の適正な実施の確保に係るもの」について
    • 外国人の法的保護を確実なものにするために、当該省令案第2の2に定める支援責任者、支援担当者へ対し事前の法的教育等、育成を行うと同時に守秘義務等責任をもって取り組むことを当該省令案において明記すべきである。
    「第2 3(1) ア(エ)f 出入国又は労働に関する法令の規定に違反していることを知ったときの対応方法その他外国人の法的保護に必要な情報」について
    • 外国人労働者の側に立ち、権利侵害等があった際に相談、支援が受けられる法律相談の確保が重要である。現状、外国人に対する総合法律支援法の適用が限定的であり行政手続き等利用できない分野、また対象者が存在している。そのため、その現状を解消し、通訳も含めて予算が十分に確保されることが必要である。
  • 支援計画の公表の必要性
    • 特定技能所属機関もしくは委託を受けた登録支援機関が実施する支援計画が法に則り遵守されるよう、個人が特定される情報を除いて、支援計画の公表に関する規定を設けるべきである。
(3)出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令の一部を改正する省 令案【仮称】について
  • 退去強制令書の円滑な執行に関する注意喚起
  • 「第2 1(1)エ」及び「第2 2(1)ウ 退去強制令書の円滑な執行に協力するとして法務大臣が告示で定める外国政府等が発行した旅券を所持していること」について
    • 退去強制一般に関して難民保護の観点から意見を述べる。退去強制の執行に関しては「迫害を受けるおそれのある出身国に送り返さない」というノン・ルフルマンの原則(参考条文を参照)が常に厳守されなければならない。当該省令においても、その旨が明記されるべきである。

    【参考条文】

    ■ 難民条約33条2項:締約国は、難民を、いかなる方法によっても、人種、宗教、国籍もしくは特定の社会的集団の構成員であることまたは政治的意見のためにその生命または自由が脅威にさらされるおそれのある領域の国境へ追放しまたは送還してはならない。
    ■ 拷問禁止条約第3条1項:締約国は、いずれの者をも、その者に対する拷問が行われるおそれがあると信ずるに足りる実質的な根拠がある他の国へ追放し、送還し又は引き渡してはならない。
    ■ 強制失踪条約第16条1項:締約国は、ある者が強制失踪の対象とされるおそれがあると信ずるに足りる実質的な理由がある他の国へ当該者を追放し、若しくは送還し、又は当該者について犯罪人引渡しを行ってはならない。

  • 在留資格「特定技能」の柔軟な運用について
    • 新たに来日する外国人だけではなく、すでに日本に在留している外国人に対しても、国籍を限ることなく特定技能の在留資格が付与されるべきである。特に十分な技術や日本語能力を有しているのにも関わらず、それを生かす就労資格を持たない者に関して、柔軟な運用を求めたい。
(4)出入国管理及び難民認定法施行規則の一部を改正する省令案【仮称】について
  • 特定技能所属機関による支援業務の届け出の改善と公表
  • 「第2 2(4) 適合一号特定技能外国人支援計画の実施状況を明らかにする資料」、「第2 5(4)」(支援業務の支援状況の届け出)について
    • 特定技能所属機関が支援業務を実施する際の実施状況の届け出に関しては、改正後入管法第19条の18第2項第2号で定められている。その届出内容については当該省令「第2 2(4)」で書かれているが、「実施の状況を明らかにする資料」が具体的に何を指しているのか明確ではなく、支援計画が適正に実施されているのかの確認が十分に行われないことが懸念される。そのため、「適合一号特定技能外国人支援計画の実施の状況を明らかにする資料」を、「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令案」の「第2 3」に定めている支援計画に準ずる内容に基づくものにするべきである。
    • 支援計画の全部の実施の業務を行う登録支援機関の入管庁長官への登録は、義務ではない(改正後入管法第19条の23)。「第2 5(4)」には、改正後入管法第19条の30第2項(「登録支援機関は、(中略)支援業務の実施状況その他法務省令で定める事項を出入国在留管理庁長官に届け出なければならない」)による届け出内容が定められているが、登録されていない支援機関が支援業務を行う場合も、当該規定の届け出が十分になされるか疑問が残る。全ての登録支援機関において、上記の届け出が義務であることを、省令において明記すべきである。
    • 「第2 2(4)」及び「第2 5(4)」で定められている支援計画の実施状況は、個人が特定される情報を除いて、できるだけ公表されるよう、定められるべきである。

以上

(2019年1月25日掲載)

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