難民支援緊急キャンペーンのその後

2010年11月


2009年4月から9月に実施した「難民支援緊急キャンペーン」では、保護費を受けられない難民申請者への緊急生活支援と政府に対する申し入れを行いました。

キャンペーンには数多くの方にご協力いただき、困窮する難民申請者の方々に対し、のべ854件の支援を提供することができました。また、昨年4月に厳しくなった保護費支給の要件は8月以降緩和されました。

しかし、2010年4月、保護費の基準が改めて変更になり、母子や重篤な病気の方を含め、難民認定の再申請者は、裁判をしていない限り、一律に保護費の対象から外されてしまいました。さらに、保護費の受給が可能な場合でも、その待ち時間が1ヶ月から4ヶ月と長く、長期間に渡って困窮状態に置かれる申請者からの相談が多く寄せられました。近年、日本に難民としての保護を求める人の数は急増していますが、2010年も、当協会が把握している限りで、11月末現在約950人が新たに難民申請を行っており、年内に1,000人を超えることが予想されています。このように、難民申請者および難民申請期間中の最低限の生活保障を求めて保護費を必要とする人は増えていますが、彼らの生活環境は昨年に引き続き非常に厳しいものとなっています。

そこで、キャンペーン実行委員会では、「難民支援緊急キャンペーン」でご寄付いただいた支援金の残額を、上記の理由等から困窮している申請者への支援に当ててまいりました。
その資金が2010年10月12日で終了いたしましたので、ご報告します。

支援実績

(2009年10月1日〜2010年10月30日)
・執行対象者総数:363人(うち、家族ケース33件)
・執行件数(のべ):623件


実際の事例

スリランカ出身家族から相談を受けました。
迫害のおそれから5年以上前に来日し、現在も難民申請中です。
今年始めごろより夫の仕事が減り、初夏には完全に失業。仕事探しは続けていましたが、貯金が尽きたため、妻が保護費を申し込んだところ、「インタビューまでに2、3ヶ月はかかる」と言われたそうです。子どもが病気のために入院し、その後も通院の必要がありましたが、「保護費のインタビューを早めることはできない、JARに相談するように」と言われてしまいました。
JARでは生活状況を再度確認し、2ヶ月に渡って合計160,000円 の生活費を支援しました。その後、妻から連絡があり、滞納していた医療費と通院費は、別の団体からサポートしてもらえることになったとの報告がありました。しかし、保護費のインタビューを申し込んでから2ヶ月が経ってもその日程は決まっていません。家族は引き続き保護費支給を待たされることになっています。

(一部、再構成してあります)

会計報告

前回報告分(〜2009年9月)今回報告分合計
【収入】
受入寄附金37,057,4852,762,50239,819,987
難民支援協会拠出3,000,0001,4693,001,469
収入合計40,057,4852,763,97142,821,456
【支出】
支援金26,694,89212,046,11638,741,008
旅費交通費23,820023,820
郵送費17,0502,14019,190
支払手数料43,47011,97055,440
管理費(寄附金の10%)*3,705,749276,2493,981,998
支出合計30,484,98112,336,47542,821,456
【収支】
0

その他、衣類や食糧、日用品などの物資もご寄付いただきました。
*ご寄付の10%は、専用電話利用料や領収証発行、会計・事業報告書作成・送付等の事務局経費として活用させて頂いております。ただし、協会からの拠出金は対象外です。


このように、皆さまからいただいたご寄付は、主に難民の方々への生活費(残金のうち約78%)、宿泊費(同14%)、交通費(同8%)として有効に活用させていただき、10月12日をもちまして終了いたしました。

しかし、その資金が底をついた現在でも、困窮した難民からの相談は絶えません。特に、4月に再び保護費の支給対象者の要件が変更されたことによって、小さな子どもがいる家族からの相談が増えています。こういった難民にとって厳しい状況の時こそ、「日本で、難民が食べたり、寝たり、働いたりする、そんな当たり前の生活を安心して送れるよう支援する団体」というJARの活動方針を改めて心に刻み、スタッフ一同懸命に対応していますが、民間で支えるには限界がきているとも感じています。

そこで、保護費支給制度の改善のみならず、一定期間内に難民申請の結果が出されない場合には就労資格を付与するなど、より人道的で包括的な難民保護制度の実現を目指したアドボカシー活動にいっそうの力を入れていくことが私たちの重要な役割のひとつだと考えております。その一方で、保護のニーズが高い人々への経済的支援を一様に打ち切ることは望ましくないため、ここで改めて、皆さまからのご寄付をお願いしたいと考えております。今後とも皆さまからのあたたかいご理解とご協力を何卒よろしくお願いいたします。

*ご寄付の詳細はこちらから。