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難民支援協会と、日本の難民の10年

日本福音ルーテル社団(JELA)常務理事・事務局長 森川博己さんのお話

JELAハウスができるまで

morikawa.jpg 日本福音ルーテル社団(JELA)は、1984年から難民支援事業を行っています。きっかけは、外務省からの「難民が宿泊できる部屋はないか」という電話でした。当初は宣教師や牧師の個人的奉仕による活動でしたが、支援対象者が増え、難民申請者への補助金管理を外務省から委託されたことなどから、本腰を入れた事業となりました。

 内部で協議を続ける中で、難民申請者用の住居が存在しないことの重要性に思い至り、1989年に都内のアパート1棟を買い上げ、シェルター提供を中心とした支援活動を展開することにしました。難民申請者とその家族を支える施設「JELAハウス」として、1991年の運営開始から現在までいつも満室状態です。

【JELAハウス】 6世帯が入居可能で、各部屋には冷蔵庫、冷暖房設備、食器、布団、椅子等の生活必需品が揃っている。家賃は無料、光熱費もJELA負担。 利用期間は自立を促す意味から6カ月としているが、難民申請結果が出るのに時間がかかるため、本人と相談の上、弾力的に延長を認めている。

ハウス運営の現場で

 私はJELAの前は、外国人への日本語教育や日本語教師養成の仕事を長くしていましたが、1999年、前任の宣教師が定年退職で米国に帰国したのをきっかけにJELAのスタッフとなり難民支援事業を引き継ぎました。

 当初は、入居時に当面の生活費を支給し、食費が底をついたと連絡があればスーパーまで同行して食料を買っていました。しかし、これは逆に依存心を助長しかねません。他の支援事業も展開して私自身が多忙になったということもあるのですが、JELAの支援は部屋の提供だけにする方針に変更しました。

 ハウスでは1年に1回か2回、大きなトラブルがあるものです。入居者の一部には、傷害事件が起きたり、麻薬使用の噂が出たりすることもありました(噂だけでしたが)。仕事を持っている人と持っていない人の間でのもめ事もありました。近隣とのトラブルも全くないわけではありません。難民申請者にもいろいろな人がいます。仲介に入るととても大変ですが、「実際の支援」とはこういうものなのだと考えています。

 一方、ハウスを運営していて嬉しく感じるときは、「必要な人に提供されている」実感が持てるときです。今でも入居希望者一人一人に面接をしますが、ハウスに入れるのかどうかでとても不安な表情をしています。ほぼ入居が決まっている人への面接なので、最初にそのことを伝えるようにしています。それを聞いて皆さん、安心した嬉しそうな表情をされるのです。JELAハウスに入居したことを喜んでくれることや、また、入居していた人に在留許可が出たり、難民認定されて退出していくとき、私たちのサービスが役に立っていると実感できます。

 この支援は、クリスチャンだからというわけではなく「必要だから」「必要とされているから」実施しています。難民認定を受けた人への奨学金の支援も行っており、将来、支援した人たちが日本と自分の国に貢献してほしいと思います。

難民支援協会(JAR)との出会いから今後への期待

 私がJELAに勤め始めてすぐの頃、当時の事務局長の筒井志保さんが挨拶に来ました。熱心で親しみやすい人柄で、とても印象がよかったことを覚えています。当時JARは設立されたばかりで無名でしたが、迫力がありました。いつか一緒に仕事をしたいと思いました。今では信頼のおける重要な団体であり、JARがあるから、JELAハウスが意味のあるかたちで運営できていると思っています。ありがたいことです。

 性格が短気なこともあり、JARスタッフに対して怒ったこともありましたが、それはきちんと受け止めてくれると思うからこそです。一緒に仕事をしていて、JARからは学べることが多いです。

 JARはこうして大きくなる団体だと初めから思っていましたし、これからもっと大きくなるべき団体だと思います。将来は独自にシェルターを運営していかれるのかもしれません。JELAの新しいシェルターの展開についてもぜひ相談にのっていただきたいです。

 政府交渉やシンポジウムの開催など、JARはバランスよく手広く活動ができているので、経済的条件が整えばもっといろんなことができるでしょう。アイデアを実践していく理想のNGOともいえる団体で、うらやましいです。

 職員の方の経済面について実情は分かりませんが、優秀なスタッフが入ってくる魅力のある団体として、本当に必要な仕事に対して十分な働きをしている人には、それに見合う待遇にしていけるといいですね。

(インタビュー:2010年7月)

日本福音ルーテル社団(JELA)
http://www.jela.or.jp/

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