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難民についての基礎知識 − 難民条約の定義について
難民条約の定義
難民とは、広い意味では、戦争、天災などのため困難に陥った人々、あるいは戦禍、政治的混乱や迫害を避けて故国や居住地外に出た人をいいます(「広辞苑」の「難民」の項)。
想像力を働かせ、私たちと同じこの世界で、迫害や、拷問が行われていること、その恐怖を抱いている人たちがいることを、思ってみましょう。そして、警察も、周りの人も、だれも自分を助けてくれないという状況を想像してみましょう。自分がそのような境遇にいたら、どれほどの怖れを抱くでしょう。難民は、そんな怖れを抱いて、本国に帰れないでいる人たちです。
彼らを助けるために、難民条約という条約が定められ、この条約を世界の多くの国が批准しました。正確には、国連を通じて起草され1954年発効した難民の地位に関する条約、およびその適用範囲を広げた1967年発効の難民の地位に関する議定書のふたつをまとめて、「難民条約」と呼ぶことが通常です。この条約上の定義でも、政治的意見などを理由に迫害を受ける怖れを有するために本国に帰れない人を難民と呼んでいて、この定義が現在最も一般的に認められた定義となっています。
その定義は以下の通りです。
人種、宗教、国籍もしくは特定の社会的集団の構成員であることまたは政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために
- ア) 国籍国の外にいる者であって、 その国籍国の保護を受けることができない者またはそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まない者及び
- イ) 常居所を有していた国の外にいる無国籍者であって、当該常居所を有していた国に帰ることができない者またはそのような恐怖を有するために当該常居所を有していた国に帰ることを望まない者
定義の具体化
難民条約の定義は、「迫害」など、かなり抽象的な言葉が使われているので、国連難民高等弁務官事務所が、「難民認定基準ハンドブック」(以下handbookと略し、数字はパラグラフを示します。)をつくって、説明をしています。
たとえば「迫害」については、生命・自由に対する脅威・人権の重大な侵害は含まれますが(handbook51?53)、飢餓・貧困から来た者(handbook62)、戦禍や政治的混乱を避けて出国した者は除かれています(handbook45)。
ある人が、条約上の難民の定義に当てはまる場合、それだけで難民といえます。その人から保護を求められた国は、その人が難民の定義に当てはまるかどうかを検討しなければいけません。その手続を「難民認定」といいますが、難民認定は、ある人が難民であることを確認することであって、認定を受けることによって難民になるのではありません。真の難民をある国が難民と認定しなければ、それは判断を間違ったということになります。(handbook28)
なお、庇護を求める国において入国・滞在が無許可とされる者であっても、難民であることに変わりがありません(難民条約31条参照)。
他の条約の定義
より広く難民を定義した条約として、1969年OAUアフリカ統一機構条約第1条があり、難民条約による難民のほか、外部からの侵略、占領、外国の支配または出身国もしくは国籍国の一部もしくは全体における公の秩序を著しく乱す事件の故に出身国または国籍国外に避難所を求めるため常居所地を去ることを余儀なくされた者も難民としていて、この条約を批准したアフリカ諸国の間では、戦禍や政治的混乱から逃れた者も難民と認められます。
また、日本も1999年に批准した拷問等禁止条約の第3条が「拷問を受ける危険があると信じるに足りる実質的な理由がある国への追放・送還の禁止」によって保護していることは、対象は難民ではありませんが、難民の保護に類似した制度です。
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